書斎
□Nightly game.
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早くカードを配ってほしくてワクワクする俺に水を差すみたいに、クルーが口を挟む。
「ちょっと待てよ。コロちゃんだけメリットがあるって狡くないか?」
オレ達にも何か特典がないと、なんてちゃっかりしたことを言い出す。
「むぅ〜、分かったよ。そんなに言うなら、お前らが勝ったら、オレが船長として何でも一個言うこと聞いてやるよ」
これで文句ないだろ、と条件を出せば、二人の目付きが変わった。
「へぇ〜、何でも…ね?」
と、クルー。
「負けられないな」
と、コック。
やけにギラギラした目でオレを見てくる二人に恐怖を覚えたが、今更前言撤回は出来ない。
「オレだって負けないよ!明日は絶対ハンバーグにして貰うぞ!」
内心ビクビクしているのを悟られないように、わざと明るい声で宣言する。
それを二人は涼しい顔で受け流し、遂に最終試合が始まった。
配られた手札を見ると、既に7のスリーカードが揃っていた。
お、ラッキーセブン!今度こそ勝ちは貰った、と意気込んでいたのだが…。
オレは二枚、コックとクルーは一枚ずつカードを交換して、遂にカードオープン!
「スリーカード!どうだ」
最早勝ったつもりで高らかに宣言したオレだったが、二人の手札を見て、ヒクリと頬を引き攣らせた。
「すみません、コロちゃん。ストレートです」
「オレはフラッシュ。あ〜ぁ、惜しかったな」
後ちょっとでストレートフラッシュだったのに、と歎くコックの声が耳を素通りする。
なんだコイツら?やっぱイカサマでもしてるんじゃないの?
「さぁ、オレの勝ちですね。何をして貰おうかな?」
ニヤニヤと笑うクルーに冷や汗を流しながら、どんな要求が飛び出すのかと身構えた。
そして、クルーが口を開く。
「今夜はコロちゃんの部屋で寝かせて下さい」
思わず拍子抜けするような可愛らしい要求に、オレがホッと息をついたのも束の間。
「勿論、コロちゃんも一緒ですよ」
これには流石に目を剥いた。
「はぁ?何が悲しくて一つのベッドに男二人が寝なきゃいけないんだよ?」
可愛い女の子ならまだしも、こんな可愛げもない成人の男と一緒に寝るなんて、絶対に嫌だ。
「コロちゃん、往生際が悪いですよ?それが嫌なら、もっと別のことにしたって良いんですけどね」
黒い笑みを浮かべて意味深に言った彼に逆らうべきではない、と本能が警鐘を鳴らした為、オレは泣く泣く頷いた。
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