書斎
□Nightly game.
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暇だからトランプでもしようと言い出したのは、確かにオレだ。
でも何でポーカー?少人数でしか遊べないじゃん。
オマケにルールもちょっとオカシイし…。
「おぉ、いい感じ…コロちゃん、この勝負もらいましたよ」
コロちゃんと呼ぶな、クルーの癖に。
ムッと頬を膨らませて、二枚のカードを捨て、山からカードを引く。
うぅ、役なし(ノーペア)だ…。オレってくじ運ないのかも。
「勝ち誇るのは早いんじゃないか?…勝つのは俺だよ」
自信ありげに笑うコックとクルーの間にはバチバチ見えない火花が飛び交っていて、挟まれたオレは居心地が悪くてしょうがない。
「ほざいたな。じゃあ、カードオープンだ!」
「…はぃ…」
「臨むところだ」
クルーはKのスリーカード。コックはQと9のフルハウス。
何だ、この二人?イカサマでもしてんじゃないか?
「チッ…負けた」
「悪いな」
そんなやり取りをしている二人に、オレは恐る恐る問い掛ける。
「ねぇ、オレまた脱ぐの?」
「「当たり前じゃないですか、脱衣ポーカーなんだから」」
普段は余り仲良くない癖に、こんなときだけ結託して異口同音に言い切る二人が憎らしい。
男だけで脱衣ポーカーって…盛り上がらないし、色々と寒いじゃないか。
ブツブツと文句を言いつつ、オレは仕方なくシャツのボタンを外し始める。
一回目で帽子、二回目で靴、三回目で靴下、四回目でベスト、五回目でベルト。
そうだよ、連戦連敗だよ。笑いたきゃ笑いやがれ、この野郎。
そして今、六敗目でシャツを脱いで、とうとう上半身裸になってしまった。
室内とはいえ寒い。
ブルリと肩を抱いて震えれば、普段はおっかないクルーが気遣うように声を掛けてきた。
「コロちゃん、寒いんならオレの側に来ますか?」
あっためてあげますよ、と笑顔で言われて、何も考えずに従おうとしたら、コックに手を引かれて引き止められた。
「コロちゃん、そんな男の言うこと聞いてたら怖い目に遭いますよ?」
「でも、寒いんだけど…」
このままじゃ風邪引いちゃう、と身震いすれば、コックは何か考えるように顎に手を沿える。
そして、こんな提案をしてきた。
「次の勝負でコロちゃんが勝ったら、明日の夕飯ハンバーグにしてあげますよ」
「え、本当?じゃあ、オレ頑張る!」
単純なオレは寒さも忘れて、再び腰を下ろした。
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