スローライフをご一緒に
□3:二人の自己紹介
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名前を聞かれて、自己紹介をしていなかった事に気づく。ミルクを飲み終えたマグカップを手に包み込み言葉を連ねた。
「私は***っていうの。平介、だね、」
覚えた と言って私は口を閉じる。下を見ると空っぽのマグカップがある。でもまだほんのり温かさが残っている。きゅっと力を込めて、そろそろこの家からお邪魔しなきゃと考えると、心細くなる。でも平介に迷惑なんてかけたくない…
「ミルク美味しかった、そろそろ行くね」
『…え?ここに住むんじゃないの?』
腰をあげてベッドから足をおろせば、きょとんとした彼が居る。当然の事と言ったような彼が連ねた言葉に私は驚きを隠せない。そんな私をみて彼は更に言葉を続けた。
『だって行くとこ、ないんでしょ?じゃあ居たらいいんじゃない?』
「でも…ご家族にも平介にも申し訳ないよ…、私お金持ってないし…」
『んーそうゆうのは大丈夫だと思うけどなー、母さんも父さんもユルいし。***は俺と一緒、いや?』
めっそうもない と彼の言葉に続いてすぐ言えば、彼はまた笑って次いで優しく抱きついてきた。温かい彼の体温。
『とりあえず、母さんに報告しますか』
「うんっ」
ベッドからおりてマグカップを彼に渡す。すると彼は開いていた右手で私の手を包みひいて行くのだった。
ーひかれる左手にはー
(どきどきする…)
((俺が話すから、だーいじょうぶ))