スローライフをご一緒に
□7:目をさましても
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肩を揺らされて目を覚ます。きっとあれは夢だったんだ。知らない世界にトリップなんてありえない。…なんで現実じゃないの?
「平…介…、」
目を開けば、一番先に見えたのはお気に入りの鳩の時計じゃなくて平介だった。寝惚けた頭でも、夢じゃなかったんだ と再確認してしまった。
『おはよー、起きて。夕食は?』
私はこの世界の人間ではないのに、なぜこんなにも当たり前に接してくれるのだろう。私はこの世界を何も知らなくて怖い。もとの世界に帰りたい。ご飯なんていらないから…
「…かえりたい…っ」
友人や家族がいる世界に。ぽろぽろ、勝手に溢れだす涙。強気でいたけど、平然にいたけど、やっぱり帰りたい。
こんなこと言っても迷惑なだけだ。平介の家族には無理言って住まわしてもらってるのに、帰りたいだなんて 失礼にも程がある。
だけどなんだか涙がとまらなくて、起きたばかりで鈍い考えしかできない私は自分の感情もコントロールできない。
『***…ごめん…』
どうして平介が謝るの?あぁもう私は馬鹿だ。平介まで困らせて。強くならなきゃ、心配も迷惑もかけたくない、笑ってなきゃ。次目を覚ましたときは笑ってなきゃ…、
ー世界の違う二人ー
(…すぅ…、)
((***…、))