スローライフをご一緒に
□17:甘えたがり
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手招きしている彼に四つん這いで近寄れば抱き締められた体。慌てて離れようとしたけれど、暴れないの なんてまったりした声とは裏腹の力で抱き寄せられる。
「平介っ、ちょっ、勉強しなよっ」
『えー、だって***が佐藤と仲良くしてるからさー、集中できない』
はい!? なんて訳もわからず驚きつつも、諦めて暴れるのをやめる。そしてまたもや誰かの視線を感じ、そちらを見れば目をぱちくり開いている佐藤くんと鈴木くん。
二人の存在をすっかり忘れていて、今までの状況を見られていたと思ったら恥ずかしくて居たたまれなくなった。
『あーあ、真っ赤になっちゃってー』
「***のやつ、完璧に俺らの存在忘れてたな」
「そーみたいだねー、とりあえず課題終わらせなきゃ」
顔に熱が集まって、両手で頬を冷やす。胡座をかいている平介の上に、ちんまり座っているこの状況をなんとか抜け出したいと思ったが、後ろから回る腕の力が強くて離れられない。
佐藤くんや鈴木くんは見慣れたのか、平介の課題をさくさくと終わらせていく。あぁ、もういいや なんて呆れながらも私も課題を手伝うことにした。
ー慣れとは恐ろしいものですねー
(平介っていつもこんなべったりなのー?)
(なんか寝るのも一緒って感じだよな)
(((一緒だよー)))