2短編

□姿を探した
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「キッド、」


名を呼んで抱きついてくるのは船員の***。俺の女でもあり、有能な測量士だ。


普段こいつからはこういったことはしてこないのに、今日は甘えたらしい。絡み付く腕に気分を良くして、俺も***の腰に腕を回し抱き寄せる。


すると幸せそうに笑った***に、俺も小さく笑う。


『んだよ、珍しいじゃねぇか。なんか欲しいもんでもあんのか?』


言え と頭を撫でれば、そいつは首を横にふる。"何もいらない"と呟きまた抱きついてくる。


「私は、キッドのこと大好きだよ」


普段なら聞けない言葉に俺は***を見るが、顔が隠れて見えない。"こっち見ろ"と言ってもそいつは顔をあげなかった。


「キッドは、私のこと嫌いになってね」


言葉の意味が分からなくて思わず眉をひそめる。"なんでだ"と言っても彼女はただただ力いっぱい抱き締めてくるだけ。


少しして、そいつは仕事で持ち場に向かった。今日のアイツはおかしかった。いつもと違う雰囲気。儚げで、今にも消えてしまいそうな、そんな、気。


いつもなら仕事なんて放り出してキラーと遊んでる癖に、そう考えているうちに甲板がやけに煩くなった。


敵船が攻めてきたらしい。***を守らなくてはとそいつを探せば、なぜか***は敵の船に乗っていた。


「キッドは、優しすぎるよ」


ー儚げに笑う君ー


((そうゆうことかよ))
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