あなたと私の10日間
□28:熱に魘されて
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***が、熱を出した。家でのんびり過ごそうと言った日、目をさませば彼女の姿が見当たらなくて血の気が引く思いだった。
雨の中、いつもなら絶対に忘れない口元を覆う覆面でさえつけるのを忘れて、がむしゃら探しまわった。
どこを探しても、見つからない***の姿。元の世界に帰るのはまだ先の話しだと何度も何度も自分に言い聞かせた。
そうでもないと、壊れてしまいそうで、
彼女と出逢って日もたたない。趣味も誕生日も知らない。でも、好きなんだ。***と過ごす時間はとても心が落ち着いて、幸せな気分になる。あいつが笑えばなんだって許せそうな気がした。
村中を走り回って、彼女を探す。家の付近をもう一度、と探していれば、パタンと玄関の扉が閉じたのが遠目でも見えた。
すかさず走って扉を開けば、何もなかったかのように駆け寄ってくる***がいて、安心感とは裏腹に怒りも覚えた。
俺ばかりが、***を好いているようで、彼女は何も思っていないような、そんな気がした。
勝手に俺の前から消えないでくれ
そう言った俺に何も返してくれない。お前は俺がそんなに、嫌いなのか?
熱に魘されて固く閉じた瞳から涙を流す***の頭を優しく撫でる。
泣くな。何が、お前を悲しめるの?
ー彼女が溢した言葉はー
(…っ消えなきゃ…っ)