君に出逢った瞬間に
□18:優しい手を
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「お前は俺のものだ。傍から離れるな」
クロロさんはそう言って微笑むと私の頭を撫でた。優しい彼にじんわり胸が熱くなる。
彼の計らいで彼の家に住まわしてもらうことになった。聞けばここはヒソカさんの家からはとても遠い場所らしい。それを聞いて安心する。
「クロロでいい。"さん"はやめろ。敬語もだ」
「うん、分かった」
繋がれた右手から、温かさが伝わる。クロロは私の手を引いて"どこへ行きたい"と訪ねてきた。
「え…?外に出てもいいの?」
「ああ、構わない。お前が行きたい所に連れていってやる」
その言葉を聞いて、心が弾む気がした。いつもは室内だけの生活だったから、外の世界には憧れを持っていた。
「私、嬉しいっ、ありがとうクロロ」
空っぽの心が静かに満たされていく。クロロは優しいく、甘やかしてくれる。昼間に二人で買い物に出かける。
服やアクセサリーを見ていればプレゼントだと言って買ってくれた。"悪いよ"と言えば"恋人なのだから甘えろ"と。
「クロロ?私はどんな人間だったの?」
過去の自分を聞きたくて自然に問うた質問。けれど彼はその言葉を聞いて涙を流した。
「ク、ロロ…?」
ー涙のわけをー
(じき寒くなる、帰ろう)
(う、ん…)