王子と人魚と桜草

□庭師の彼に花束を
1ページ/2ページ

「真咲せんぱーいっ!」



ある平日の昼下がり。俺は学校の花壇に花の苗を植えに来ていた。ここは俺の母校でもある。そしてバイトの後輩が今通っている学校でもある。そうその後輩と言うのが今俺の名前を呼びながら駆け寄ってくる***。


***は今高校二年生で一年の頃からアンネリーで働いている。最初は可愛い妹のように思っていたのだが、今は違う。今は一人の女として好きなんだ。けれども今の関係を崩したくないから自分の気持ちを留めている。


『おっ!***じゃねぇか!どーしたんだ?』



そう問えば彼女はふわりと笑い、目の前に花束をさしだした。色とりどりの花束が視界いっぱいに広がり受けとれば、彼女と目が合いまた、微笑まれた。


「受け取って下さい、庭師の先輩にあげます」


そう笑って授業の予令と共に走って教室に戻る***を姿が見えなくなるまで見ていれば、ふと鼻をくすぐる花の匂い。ほのかに香る花束の中に一輪の真っ赤な薔薇を見つけた。


その薔薇を引き抜き、茎に結ばれていた太めの白のリボンを見る。そこには短く文字が綴られていてその言葉を見て俺は目の前の薔薇のように顔を真っ赤にさせるのだった。


ー姫は庭師が大好きですー
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ