王子と人魚と桜草
□冬と言えば!?
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俺には好きな人がいる。その人は一つ年上だけどそんなこと感じさせないくらい、一緒にいると落ち着くし楽しい。
水曜日の夜。その先輩、***ちゃんに電話をかける。二回コールの後聞こえた彼女の声に、"次の日曜さ、スキーしに行かね?"と言えば元気な返事が返ってきた。
話し終わって携帯を耳から離すと同時に、緩む頬。ガッツポーズと声が思わずでた。
『早く日曜になんねぇかなぁ』
そう一人呟けば、いつの間にか隣にいた弟に根掘り葉掘り聞かれる羽目になった。
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「よしっ!じゃあ滑ろっか?」
待ちに待った日曜日のデート当日。バスに揺られてたどり着いたスキー場に心弾ませる***ちゃん。あぁー、可愛いんだよなぁ…
彼女の言葉にのっかってすべる。***ちゃんの運動神経は抜群で心行くまで滑れる。
『あぁー、さみぃ!』
大分時間がたったようで少し日が傾いている。着込んでいても感じる寒さを思いのままに口に出せば、不意に訪れた温かな温度。
視線を下にずらせば、正面からおもいっきり抱きついてきている彼女。驚いて声をかければ***ちゃんは顔をあげる。
「あったかいでしょ?」
へらりと笑った彼女が可愛くて、俺に抱きつく小さな体を自分の腕で包み込めば、彼女は幸せそうにふわりと笑った。
ー俺とおんなじ気持ち…?ー
(あったかさ、おすそわけだよ)
((もうちょい、このままでいよ?))