君に出逢った瞬間に
□1:だれですか?
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目を覚ませば知らない場所だった。重く痛む体を起こして辺りを見渡す。そこは緑の生い茂った場所。
「しんりん…森…?」
空は暗く、少しかけた月が周りを照らす。夜なのか と納得して立ち上がろうとすれば右足に重い痛みがはしる。
「…っ」
見ればふくらはぎの部分から足の裏までに大きな切り傷があり、さほど深くはないが歩くには我慢ならない。
『どうしたんだい?◆こんなところで』
不意に聴こえた背後からの声に体が固まる。ゆっくり後ろに振り向けば、ピエロの姿をした男がいた。
「だ…れ…?」
恐怖心を表に出さないように、冷静を装う。月明かりしかないとはいえ外観や表情はそれなりに分かった。
誰かと問えば男が近づいてくる。後ろへ体を引きずるも、男に腕を掴まれて動けない。
じっと顔を見られて、殺される と目を固く閉じる。怖くて、たまらない。
『おいで、』
切り裂くような、苦しく辛い痛みがくるかと思いきや、ふってきたのは優しい声。目を開いて男を見る。
『取って食いやしないよ◆』
そう笑ったピエロは私を抱き上げた。じたばた足掻いていれば、"足が痛むだろ"と。
大人しく彼の服に掴まって落ちないようにする。すると男は上機嫌なのか笑っていた。
ー救ったのはピエロー
(心が空っぽな気がするの)