君に出逢った瞬間に
□6:涙を拭った
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いつも笑っている彼が涙を流した。どうしたの と聞けば、抱きしめられる。
『***のせいだよ◆』
「私…のせ…い?」
流れる涙を優しくぬぐってあげる。ごめんね と一緒に。ヒソカさんは可笑しな人だ。私があの人に会いに行くことを拒む。
「私があの人に、会うと、悲しいの?」
そういうと彼は抱きしめる力を強めた。私はヒソカさんも、あの人も泣かせたくないの。ヒソカさんは、私を拾ってくれた優しい人だから、
「じゃあ、もう会わない。あの人には…」
会わない そう言おうとすれば目から雫が溢れた。どうして と自分の涙の意味に戸惑う。
"どこにいるんだ…早く会いに…っ"
頭の中の彼が私に訴えていて、私はどうしようもないくらい、狼狽える。
でも彼に会おうとすればヒソカさんが悲しむ。昔の私は何をしたの?記憶が戻れば、いいのに、あぁ…そうか…
「ヒソカさん、私ペットやめます」
さようならしましょ? と。そうだ、ペットだからヒソカさんは別の人に会うのを拒むんだ。だったらペットをやめればいいんだ
でも、ヒソカさんに会えないのは…胸が痛いなぁ…
『…っダメだよ、許さない◆』
そう言って彼は私を強く強く抱きしめた。逃がさない と言わんばかりに。
ーどちらも救えないー
(私は無力なのですね)