君に出逢った瞬間に

□6:涙を拭った
1ページ/1ページ

いつも笑っている彼が涙を流した。どうしたの と聞けば、抱きしめられる。


『***のせいだよ◆』


「私…のせ…い?」


流れる涙を優しくぬぐってあげる。ごめんね と一緒に。ヒソカさんは可笑しな人だ。私があの人に会いに行くことを拒む。


「私があの人に、会うと、悲しいの?」


そういうと彼は抱きしめる力を強めた。私はヒソカさんも、あの人も泣かせたくないの。ヒソカさんは、私を拾ってくれた優しい人だから、


「じゃあ、もう会わない。あの人には…」


会わない そう言おうとすれば目から雫が溢れた。どうして と自分の涙の意味に戸惑う。


"どこにいるんだ…早く会いに…っ"


頭の中の彼が私に訴えていて、私はどうしようもないくらい、狼狽える。


でも彼に会おうとすればヒソカさんが悲しむ。昔の私は何をしたの?記憶が戻れば、いいのに、あぁ…そうか…


「ヒソカさん、私ペットやめます」


さようならしましょ? と。そうだ、ペットだからヒソカさんは別の人に会うのを拒むんだ。だったらペットをやめればいいんだ


でも、ヒソカさんに会えないのは…胸が痛いなぁ…


『…っダメだよ、許さない◆』


そう言って彼は私を強く強く抱きしめた。逃がさない と言わんばかりに。



ーどちらも救えないー



(私は無力なのですね)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ