君に出逢った瞬間に
□9:木の下の彼は
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音沙汰もなく、現れたのはヒソカさん。私を見て呆れたように溜め息をついていた。
『イルミ、礼を言うよ。***、かえろう◆』
彼はイルミに何かを渡して、私を抱き抱えた。そしてとても速いスピードで家を目指す。家について、私はベッドに横にされた。
『ダメじゃないか◆勝手に出歩いたら、君はまだ体調がよ「ヒソカさん、」…なんだい?◆』
彼の言葉を遮る。イルミから聞いた言葉を確かめるべく、言葉を連ねる。
「私は、ヒソカさんの恋人だったって本当なの?」
そう言えば、目を見開いた彼。少しして"違うよ◆"と笑った彼に私は"嘘、"と続けた。
「イルミから聞いた、嘘は嫌だよ」
彼の目をじっと見て、言う。すると彼は顔を反らして言葉を続ける。
『恋人だった、つまり過去形だよ◆今はもう恋人じゃない』
「…っ…そう…」
彼の言葉に目の奥が熱くなった。彼に否定されて、好きじゃないと。恋人だったら嬉しい と思った私の心。
木の下の人は別人で、私が探してたのは、ヒソカさんだった。彼に呼ばれてた…、そうだよ、ヒソカさんは私を呼んでいたのに。
「記憶、戻ってほしい…っ」
涙が溢れた。流れる涙を、止めれなくてただただ喪失感で胸がいっぱいになる。
『記憶なんていらないさ◆記憶が戻ればきっと君は僕から離れていってしまうだろ?』
悲しく儚げにいった彼の言葉が理解できない。私が離れる?どうして?こんなにも貴方が好きなのに、
ー彼は悲しく笑ったー
(真実が知りたいの)