あなたと私の10日間
□2:初めまして
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深い深い暗闇に落ちていく。階段から落ちたり、穴から落ちたり散々だ。悪魔くんったら次会ったら許さないっ!
『なーにを、許さないの?』
近くから聴こえた低い声。朝日が眩しくて瞼が重い。ゆっくりと目を開けば目の前には知らない銀髪の男性がいた。
「それは悪魔くん…ぅ…え?ぎん…髪?」
起きたての頭。思うように思考が回らない。かっこいい人だなとか、左目が赤いなとか、銀髪が綺麗だな とか、そんなことしか頭を巡らない。
『悪魔くん?ハハハッなんだそれ、寝惚けてんのね〜、』
だれ?だろうか…。悪魔くんは別の世界で過ごせと言っていたから、きっとそこの住人なのだろう。それにしても暖かい。
腰に回っている何かに圧迫されて彼と抱きつくような形になる。ベッドで寝てるんだ と、納得す…
「なっなんで!?私ここで寝てるんですか!?」
やっと目を冷ました思考。がばりと体を起こそうとすれば、彼の腕がそれを許さない。回された腕によりいっそう力をこめられ抱き締められる。
『んー、なんでだろーね?起きたらなんかお前が、寝てた』
からから笑う彼。私はただただ今の状況に頭がついていけない。色々と恥ずかしくて自分でも顔に熱が集まっている事がわかる。
「あ、の…っとりあえず離してくれませんか?!ちかくて…えっと…っ」
少し首を上へ傾ければ彼の顔、真正面を向けば彼の胸板があって恥ずかしくていたたまれない。
『えー、暖かいから、ダーメ』
にっこりと目を弓にさせて言う彼に私は下を向くしかなかった。
ー助けてください!ー
(離してくださいってばーっ!)
((あらら、暴れないのーイテッ))