あなたと私の10日間
□14:消して消して
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10日間しか居られないこの世界で、恋をするなんて馬鹿げてる。悲しい恋に終わるだけだ、忘れなきゃ ひたすら呪文のように自分の心で唱える。
「…っ!」
想いにとらわれすぎて、手元を見ておらず包丁で指を切ってしまった。浅く切れた傷口からは血がぷくりと流れてくる。ついてないなぁ なんて傷口を見て考えていれば、ぐい と引かれる左手。
『あーらら、なにやってんの。消毒、消毒…』
いつのまにか現れた彼をみて呆気にとられる、消毒 と言って私の指を口に含んだ彼に私は顔を真っ赤にするしかなかった。
「えっ!?カカシさんっ!?」
『ん?カカシ、じゃないの?さっき呼び捨てだったのに』
あれを 聞かれていたなんてよけいに顔に熱が集まる。にっこり笑うカカシさんに焦りながら、弁解した。
「あ れは、ちょっとなんて言いますか…、聞き間違…そう聞き間違えですよっ!」
自分でも苦しい言い訳だなぁ、なんて思いながらも言えば彼は、ふーん なんてじとりと目を見る。私はあはは なんて焦りながらも笑えば彼は溜め息をついて口を開いた。
『嬉しかったんだけど、聞き間違えかー。』
彼の言葉に え? と思考回路が止まる。嬉しかった って言った?目をぱちくりさせて彼を再び見れば目の前の彼はにこっと眉を下げて微笑んだ。
ーその表情はなんなの?ー
((やっぱり、敬語とかって壁感じるよね))
(えっ!?そんなつもりは…)