あなたと私の10日間
□19:彼はいない
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ふと目を覚ました。外を見れば相変わらずの雨。部屋が暗くても明かりがついてないと言うことは彼はまだ帰ってないらしい。
電気をつけるきにもならなくて、序に暗闇に慣れた目で時計を見れば十時を過ぎていた。
「遅いなぁ…」
呟いてまた布団にくるまる。この世界にきて夜一人なのは初めてだ。不安が心細さを強める。
『***、そこにいるの?』
不意に聞こえた彼の声。音の主に目を向ければそこには彼がいて、思わずベッドから飛び出て抱き締める。
『あらら、遅くなってごめんな』
雨に濡れたのか彼は濡れていて、抱き締めた身体は冷えきっていた。
「ううん、帰ってきてくれたからいいんです。」
離れなきゃ。こんな言葉言っちゃいけないのに。心配なんてさせたくないのに。重い女だって、めんどくさい女だって思われたくないのに。勝手に出てくる言葉が疎めしく思った。
『風呂行ってくるね。***、晩飯食った?』
「いらない…です。」
『そ?じゃあ俺もいいや。じゃ行ってくる』
頭を撫でて彼はバスルームへ姿を消した。ベッドに戻って天井を見つめる。カカシがいるってだけでこんなに安心できるんだ。
八日もあるって言ったけど、八日しかないの間違いだった。残された八日間。あと少しで七日間。
ー胸が苦しいよー
(帰りたくない、)