短編

□覆面の彼は
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「カカシさーん?起きてくださ〜い」


今日はお互い非番で久々に二人でお出かけしようと約束したのに待ち合わせ場所に来ない彼。またか と内心呆れながらも彼の家に向かった。


彼が持たせてくれた合鍵を使って中に入る。手裏剣模様の布団が膨らんでおり、彼が寝ていることがわかった。


起きるように声をかけても、体を揺すっても目を冷ます気配がなくて夕方がくるというのに彼は起きてくれなかった。


「もう…、カカシさんなんて知らない」


せっかくのデートでお洒落もしてきたのに、彼はいつもこう。遅刻はしょっちゅうだし、寝てたり本よんでばっかり。


「もう、あきちゃったの…?」


私に とぽつり呟き、涙で滲む目をこする。帰ろう と思い立ち上がれば、何かに引かれてぐらりと揺れた視界。


ベッドに引き込まれた私は、何事かと驚きつつも私の腕を掴んで引いた人をみた。その人は先程から起こしていた人。


『ごめーんね、いじわるしすぎた』


焦ったように謝る彼を見る、起きてたんだ。帰る前に声が聞けてよかった。


「もう、色々心配しちゃったじゃないですか」


そう言えば彼は私を包み込み、優しく抱き締めた。そして首もとに顔を埋めてくる。息がかかり、くすぐったい と笑えば彼も笑った。そして小さく聴こえた彼の声。


ーあきるわけないでしょー


((今日、泊まって行きなよ))

(っ!、はいっ)
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