短編
□聞いてよ
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「あれ、シカマル?」
久しぶり とへらりと笑うそいつをみて俺は片手上げて短く返事する。天気のよい空の下、そいつは俺の特等席であるベンチに仰向けになって空を見ていた。
『そこ、俺の特等席なんだけど』
遠回しに席を開けるように催促するも彼女はどかない。このやり取りを今日までに幾度したことか、それはもう数えきれないほどの回数。
「知らないよ〜だ、ここは私の特等席。シカマルは別の場所に行ってくださーい」
この返し方ももう聞き慣れた。こいつがこうやって言うときは決まって寂しい時。天の邪鬼な彼女。俺は溜め息をついて、彼女の隣の少し余っているベンチのスペースに腰をおろす。
『んで?今日は何があったんだよ?』
彼女の目をそっと覆うように自分の手を添えれば、彼女は少し体を浮かせて俺の膝に頭を置く。
「、任務でも…人の命奪うってキツイね」
ぽつり 溢した彼女の弱音。だが忍びならば誰もが抱く感情なのかもしれない。任務だから と割り切れる人間はそう居ないだろう。彼女、***もその一人だ。
『しゃあねぇよ、先に殺らねぇとこっちが殺られちまう』
そう空を仰いで言えば、***は静かに頷く。手に水滴がつくような感覚に彼女が涙を流していることが分かった。
『そんなに殺すの嫌なら、忍びやめちまえ。そんでさ、』
俺んとこに嫁げば?
そう言ったあと、彼女がおき上がり俺を抱き締めて、同意したのは言うまでもない。
ー優しい笑顔ー
((死ぬまで一緒に居ような))