スローライフをご一緒に 続
□47:大大大好き
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ラブレターを貰った私は次の日の放課後、送り主が待っている屋上へ向かった。
長い長い階段を上る。最上階の扉を開けば三年の先輩がいた。その人の顔を見て思い出す。
「階段でぶつかった…人?」
ふと言葉が出て、目の前の彼は一瞬びっくりして次いで、ふんわり笑った。
「覚えてくれたんだ!俺、忘れられてたらどうしようって!」
そう笑う彼は、いい人そうだ。きっとモテるんだろうな なんてぼんやり考えていれば不意に捕まれた右手。
「俺、本気で好きなんだ。あの日からお前の笑顔が忘れなかった」
右手に注いでいた目線を上げれば彼と目が合う。瞳には先ほどまでのふんわりした色ではなく、真剣な色。
「あ、と、ごめんなさい」
彼の悲しげな目線が辛くて目線を反らせば、右手を掴んでいる彼の力が少し強くなる。
「俺じゃだめか?これからでも、付き合っていけば、さ」
右手を見る。繋がれている手の温もりがいつもの温かさではなくて、私が今も、そしてこれからも求める温かさは、
「好きな人が、居るんです。その人が大切で…、ごめんなさい」
「いつも一緒にいる、のんびりしたアイツ?」
彼の言葉に素直に頷いく。そんな私を見て彼は"そっか"と眉を下げて笑った。"じゃあな"と私の肩を小さく叩いて背を向けた彼に私は頭を下げるしか出来なかった。
ー私がホントに大切なのはー
(平介だけだ)