スローライフをご一緒に 続
□50:鬼の居ぬ間に
1ページ/1ページ
思い出した と言わんばかりに鈴木が言った言葉に佐藤は苦虫を潰したような顔をして固まった。
「へ、平介?日直かわってくんない?」
『えー。ま、頑張ってくださいな』
にやりと笑った平介に、がっくり項垂れる佐藤。涼しい顔をして二人を眺める鈴木に、三人を見てふわり笑う***。
「あっはは!なんか楽しいね!」
へらり笑った***に視線が集まり、皆もつられて笑った。屋上に響く笑い声は晴れて澄んだ夕焼け空によく似合っていた。
『帰ったら、ロールケーキ作ろうと思うんだけどさ、どうすか?』
平介の言葉に三人はまた笑った。佐藤の日直の仕事がおわるのを待って、皆で平介の家に帰る。"おじゃまします"の声が楽しげに響いて、キッチンに集まればお菓子をつくりだす。
「やっぱりイチゴいれなきゃねっ!」
「はぁ?みかんだろ、みかん!」
「えー?桃じゃないのー!?」
『…うーん…、』
生地を焼いてのせるフルーツを各々口に出せば見事にバラバラで、平介は少し考えた後"全部にしますか"とへらり笑った。
ー冷蔵庫の中には…ー
((あ、リンゴしかねぇーや))
(え!?リンゴだけ!?)
(みかんは!?)
(じゃんけんで買い出しきめよ!)