輝く太陽と君達に
□2:仕事がありますから
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トラファルガーに右腕を掴まれ、引き寄せられた私はあわあわと動揺する。仲間にと勧誘されるのはよくあることだけど、出逢った途端に抱き締められるのは初めてだ。
『と、トラファルガー様!?私、仕事ありますから…あのっ』
"離してください"と慌てる私を彼は楽しそうに笑っている。騒ぎを嗅ぎ付けて、集まるクルーに助けを求めれば目を真ん丸にしている。
「キャプテン?その女は…?なんか嫌がってますけど」
「え!?あれ女!?よくわかるなお前!野郎かと思ったぜ〜っ」
後半聞こえた声に少し気を落とす。今の身なりは白のロングコートと黒の革ブーツ。コートについているフードを深くかぶっているものだから、男女の区別はつきにくい。とは言っても、直球に言われると悲しくなった。
『失礼な!女、ですもん!』
そう口に出せば、抱き締めつづけるトラファルガーはククッと小さく笑う。それにまた頬を膨らませば彼は頭を撫でてきた。
「おい、こいつ今日から船に乗せる。部屋の準備とツナギ用意しとけ」
「「『はい!?』」」
トラファルガーが放った言葉に、すっとんきょうな声がでたのは私だけではなかった。駆け付けた二人も同じく驚いている様子。
『トラファルガー様!?私、仲間になんてなりませんよ!仕事もありますからっ!』
「うるさい口だな、黙ってろ。もう俺の仲間だ、***」
ニヤリと笑い私の名前を口にした彼に疑問を抱けば"手元を見ろ"と言われた。そこに握ってあったのは、かつて友人がくれた名前入りのペン。
『目敏いですね…』
溜め息混じりにそう呟けば、彼は"まぁな"と口角をあげた。それを見た二人のクルーも私同様、深い溜め息をついた。
ー困ったお客様ですー
((こうなったら、逃げよう))