短編

□ほっと一息
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ある晴れた昼下がり。今日は仕事がお休みだからのんびりしようと部屋でごろごろする。だが休みとはいえ朝起きる時間は何時もと同じで、朝からごろごろしていたものだから流石に飽きてきた。


「名無しさんーー!!お邪魔しマッスルゥ!!」


「うわぁぁ?!」


がちゃんと開いた玄関の扉と元気のいい声が寛いでいた私の心を飛び跳ねさせた。


「アハハ!マヌケな顔ー!!」


驚く私をみてそう笑う彼はとても楽しそうで。手を叩いて笑っている彼のパーカーの袖はだるだるな為音が鈍い。


「もう、十四松?勝手に入ってくるのはいいけど驚かさないでって言ってるでしょー?」


心臓、止まっちゃう。


そう言えば彼は目を猫の様にしてピクっと固まる。


「それは嫌だ!!わかった!!!驚かさない!!!」


あれ?素直だ。そんな十四松の頭をよしよしと撫でてあげれば彼はへへへ!と機嫌を良くする。


「十四松は皆と違って素直だね」


皆とは松野家の兄弟のこと。皆個性豊かでとても賑やか。十四松もだけれども。


私と六つ子は数年前からの付き合いで、今となれば家族共々仲良くさせてもらっている。


「あれ?そう言えば今日は十四松だけ?」


いつもは誰かしら兄弟がついて来るのに。と頭を撫でられて犬の様に座る彼に言うと「今日は1人!」と元気な返事が帰ってくる。


「めずらしいねぇ」


「僕だけじゃぁ嫌?」


意外な彼の言葉に目を真ん丸にすれば十四松はしゅんと項垂れてしまった。


「兄さんたち、つれてきてあげる!!!」


「え?!連れてこなくていいよ?!」


「なんで?!僕だけじゃ、つまんないでしょ??」


自分の言った言葉に傷ついている彼は何と言うか、愛おしくて困ってしまう。十四松が嫌な訳ない。むしろ大好きだもの。


項垂れた彼をぎゅう、と抱き締めればその人は驚いて次いで「お返し!!」と、嬉々として抱き着いて来るものだから愛おしくてたまらなかった。


ー大好きと伝えてみようかー


(やっべぇ!チョーー幸せ!!!大好きなんですけど!!!)
 

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