短編

□ほれた弱み
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「おそ松なんて知らない」


別れる。



そう言った彼女は俺を見ようともせず背を向け走っていってしまった。



ことの発端は俺の行動から始まる訳で。俺にしか非がない。昼からのデートの約束をすっぽかしてパチンコにいってたからな。だって、仕方ねーじゃん?デートまでに暇な時間を潰すかるーい気持ちで行ってたらでるわでるわ!!大儲けだっつーのっこの金で美味いものでも食べに連れてってやろうと思ってたのによぉ。



「それで、何時間待たせたわけ?」


「…五時間」


「「「「「はぁぁぁぁ?!!」」」」」


居間で集まる男六人。目をそらし責められている一人を残しその他はガタンと勢い良く立ち上がり彼に目を向けた。怒号の如く浴びせられる物は五人から出るもので聞き分けられない。


「うるせぇ!俺だって悪かったと思ってるっつーの!」


テーブルを叩いてそう言えば五人の弟達は静まる。そうさ、悪かったと思ってるさ。でもよ、ちゃんと謝ったし…


「おそ松にいさんはさ、ちゃんと謝ったの?名無しさんちゃんがそこまで怒るなんてよっぽどだよ。」


このまま別れてもいいの?


末っ子のトド松は上げていた腰をおろしてテーブルに肘をついて首をかしげる。


「おそ松にいさんが行かないなら、僕が行っちゃうよ?」


ガタン


末っ子の言葉に自然に腰がういた。そしてかけた足が向かう先は彼女の元で。息が切れるのも忘れるくらい無我夢中に走る。



会ったらなんて言おうか。ごめんって、謝って、それから。それから、なんて言おう。誰にもお前を譲る気なんて、ねーよ。だってさ、好きで好きでたまんねーんだもん。弟でも渡してたまるかってーんだ。



ー息を切らして君の元へー

(おそ松にーさん!行っちゃったね!!)
(ほんと、子供)
(ふ…名無しさんは罪な女だな)
(トド松、あれ本気だったでしょ)
(さぁね?でもうかうかしてたらほんとに僕が奪っちゃうんだからね )

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