桃組+戦記

□第二話
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千鳥side


「いやあぁあぁぁ!!こっちこないでえぇえぇ!!」


「お待ちなさーい、千鳥ちゃーん!!」


昼休み、千鳥は赫夜に追いかけられていた。
赫夜の左手には蓋がしてある試験管。
その試験管の中には紫色の液体の中に緑色の丸い何かが動き回っている。


「千鳥ちゃ〜んすぐに楽にしてあげるからいらっしゃ〜い」


「かーくん先輩こわ〜い!!」


千鳥は涙目になりながら逃げる。


「千鳥様!!」


「くまさん!?」


千鳥の目の前に熊田が現れた。
熊田は千鳥を自分の後ろに隠す。
そして、赫夜を睨んだ。
普通の人ならその睨みだけでビビって逃げ出すが、赫夜はビクともしない。
寧ろーー


『打倒熊田!!』


赫夜は燃えていた。


「千鳥様、此処は私にお任せ下さい!!」


「え、でも!」


熊田の言葉に千鳥は戸惑う。


「私のことは気にせず、さぁ、行って下さい!!」


「う、うん、わかった。気を付けてね!」


千鳥は熊田から離れ、逃げる。
千鳥が見えなくなると、熊田と赫夜の戦い始めた。


千鳥はそのまま走り続け、一年理数科の教室前に着いた。


「ここまで来れば、もう大丈夫かな?」


「千鳥?何してるの?」


後ろを振り向きながら千鳥が不安そうにしていると祐喜が千鳥に話し掛ける。


「あ、ゆう君!!ゆう君こそ、なんでここに?」


千鳥は首を傾げながら祐喜に問う。


「俺は咲羽達捜してて…千鳥知ってる?咲羽達が居る場所」


祐喜の言葉に千鳥は少し考え、とある場所を頭に浮かべる。


「う〜ん。いるかどうかわからないけど、見当はあるよ。中央庭園だと思う」


「中央庭園って?」


転入して来たばかりの為、祐喜は千鳥が言った場所がわからない。


「時計型の大きな庭のことなの。時計の位置にその数と同じ月の木とか花とかがあって、さっくん達ならきっと三月の庭だよ」


 
「へぇ〜三月の庭かぁ」


千鳥の説明を聞いて、祐喜は少し、中央庭園に興味が湧いた。


「一緒に行く?案内するよ」


千鳥は笑顔で聞く。


「え?良いの?」


「うん!じゃ行こう!!」


千鳥は祐喜と手を繋ぎながら三月の庭へと向かった。




ー中央庭園、三月の庭ー



千鳥と祐喜が三月の庭へ行くと、ある木の下で、雅彦、雪代、咲羽の三人は寝ていた。



『じゅ………熟睡だーーーー!!』


三人が熟睡していることに驚く千鳥と祐喜。


『こんな所にいたのか……さて…どーしたもんかな』


祐喜は雪代の髪に着いていた葉を取る。
すると、雪代が目を開け、寝ぼけながら祐喜の顎の下に手を伸ばした。


「……ああ…ここにいらしたのね…私達……あなたにやっと会えたーー」


そう言いながら雪代は手を祐喜の顎下から頬へ移動させる。

祐喜は雪代の手にそっと触れる。


 
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