銀色少女

□013
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了平の影には京子有り。
それは、私の日常になりかけていた。
たまに了平を迎えにきていた京子は毎日のように来るようになり、最近では3人で近くの公園で遊んで帰るようになった。



「それはほんとうか!?」



『嘘言ってどーすんのさ。』



「やだやだやだーー!!きょうこ、夕映くんとあちょぶのーー!!」



『京子ちゃん、何度も言うけど私は女だからね?くんはおかしいよねー。』



駄々をこねはじめる2人に両腕を掴まれて捕獲状態の私。
いつも通り、公園で遊んでいる2人に私は『あっ、そう言えば私、明日から1週間ぐらい幼稚園来ないから』と言えばこの状態。



行かせない!と言われているようで振りほどきにくい。
だが、ツナも奈々さんも楽しみにしていた海外旅行だ。
キャンセルするわけにもいかない。



恭弥にはなんとなく一週間前に言えば拗ねてしまった、帰ってきたら機嫌が治っていればいい。



「極限にいやだぞ!夕映はおれといるんだ!」



「きょうこも!」



『(こゆーところはそっくりだな…)』



似てない兄妹だと思っていたがこういう所ではやはり血が繋がっているのだろうと感心する。



『仕方ないなぁ…これ預かっといてよ』



「……グスッ…なんだこれはなんだ?」



『泣くな、泣くな。これは……前に母さんが買ってくれたネックレスだよ』



前に買い物に行ったときに見たネックレス。
ジーと見ていた私に気付いて、「いつも頑張っているから」と奈々さんが買ってくれた物だ。



紐はグラデーションが綺麗な染め紐。大小の十字架がぶらさがっている私のお気に入りの小物だ。



大きな十字架を染め紐に通して了平の手首に結ぶ、鞄から予備の短い染め紐出して小さい十字架に通して京子の首に。



『私をここにおいてく。だから泣くな。』



2人にそう言えば、2人は顔を見合わせてニカッと笑う。
あぁ、子供って単純。
了平は「極限かっこいいぞー」と自分の手首に光る十字架を高々と掲げる。
京子は気に入ったのか、胸に光る十字架を目の前で嬉しそうに握っている。



『お風呂に付けても大丈夫だけど、京子は寝る前には絶対に首から外すんだよ?』



「あぃ!」



『よろしい』



小さい子供は首に絡まったりしたら危ないもんね。
なんだかんだ、言いながら最終的に2人は嬉しそうで良かった。



こうして私は、家族旅行にいけるのであった。





 

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