銀色少女
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『……っ…ふっ…』
「ユっちゃん…?どうしたの?」
泣いている私を帰ってきた奈々さんが見つけた。
『なんにも、ない、よ…』
「しんどいの?何か食べる?」
『お願い、1人に…して』
弱い自分を見られたくない。
今の自分は弱々しくて…奈々さんに見せれるものじゃない。
だけど、奈々さんは部屋から出ようとはしない。
「…嫌よ。ユっちゃんが泣いてるならお母さんは傍にいるわ」
『……なん、で』
「ユっちゃんは、賢くて、何でも出来て…とても素敵な私の自慢の娘よ。
だけど…たまに強くて不安になるの…何かを1人で背負い込んでいるのに…私にはそれはわからないんですもの…
だから……ユっちゃんが泣いてる時は傍にいてあげたいの。」
『かあ、さんっ…』
何時ものように優しく笑う奈々さんは私を抱きしめてくれる。
…奈々さんからは嗅ぎ慣れた洗剤の匂いに…微かに優しい香り。
いつの間にか涙は止まり…奈々さんにしがみついていた。
あぁ…全然ダメだ。
守るって決めたのに…逆に支えてもらって…。
ダメダメだ…ダメユエだ。
『かあさん…ありがとう……』
「ユっちゃんはやっぱり笑ったほうが可愛いわ!あっ…笑わなくても可愛いわよ?」
抱きしめてくれる奈々さんから離れる…
そういえば…この世界に来て泣いたのは初めてだ…。なんて考える。
何だかスッキリした。
もしかしたら…私は欲張りすぎたのかもしれない。危険じゃない原作を進んで、危険回避して…ツナには傷ついて欲しくなくて…。
『少し……考えよう…』
原作は…イレギュラーな私がいるせいで変わるかもしれない…だからこそ私はそこをなおせばいい。
ツナの危険な日常はツナの強さに繋がる…命にかかわる事はさせないが、それなりに原作に沿ってみてもいいかもしれない。
脱、原作…いや、脱、危険。
『…誰も…悲しまないセカイが見てみたいだけなのかな…』
私の決意は…私のエゴだ。
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