「おおおおおーい!」
今日も元気な我が船長がいつにもましてご機嫌に走ってきた。

「見ろよー!おれ、狼男!」

狼耳と尻尾、牙をつけたルフィは歯をむき出しにして威嚇のポーズをとる。

「かわいい、かわいい。いきなりどうしたの?」

「おい!かわいいじゃなくてかっこいいって言えよ!あのな、ロビンがな、今日はおばけになって食いもんもらう日だって教えてくれたんだ!」

「いやー、それは違うような気もするけど…知ってる?ルフィ、お菓子をもらうときには『Trick or treat』って言うのよ」

「とりっくおあとりーと?ん?なんだそれ?」

ルフィは、ん?と首をかしげて腕を組んだ。

「お菓子をくれなければイタズラするぞ、って意味よ」

「そうかーすげぇな!そんな呪文があるのか!ありがとう!教えてくれて!」

ルフィは嬉しそうにそう言って、狼尻尾をふわふわさせながら走って行った。


「みんなー!とりっくおあ、にくうううう!おれは肉が食いたいー!」


「まぁ、ルフィならそっちのが違和感ないかも」

私はひとり呟くと、何やら騒がしい仲間たちのもとへ歩いていった。


「んれでぃーたちー!パンプキンプディング焼けたよー」

「うるせェくそコック!んなことより酒が足りねェぞ!」

「んだとミイラマリモ!それぐらい自分で取って来い!」

ドラキュラのコスチュームに身を包んだサンジ君と、無理矢理包帯をグルグルにされたようなミイラらしきゾロが言い争っている。

チョッパーはフランケンシュタインだろうか。かわいさしかないけど。

ウソップはジャックオランタン、ブルックは言うまでもなく、フランキーにいたっては最早なんだかわからない。


「ほんと、男ってお祭り好きよね」

ナミはため息をつきながらも楽しそうだ。

「あら、でもロビンが言い出したんでしょ?」

私がからかうと、ナミもニヤリとして頷いた。

「ふふ、まぁ、いいじゃないこうゆうのも…私、もっとゾンビとかに仮装して血だらけになるのかと思ってたんだけど」

「ちょっと!怖いこと言わないで!」


三人で笑いながら、ルフィたちを見ていると、そうだ、と言ってロビンが立ち上がった。

「私たちの分も衣装用意してあったのよ」



真夜中は馬鹿騒ぎ


いつものことなのは気のせい気のせい





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