一通り大騒ぎすると、はしゃぎ疲れたようでみな気持ちよさそうに船のあちこちでいびきをかいている。
ナミはバスルームにでも行ってしまったのだろうか。
ロビンもいつの間にか姿を消していた。
なんだか酔いが覚めてしまった私はひとりで飲み直そうと辺りを見回した。
甲板に転がっていたワインの瓶を一本拾い上げると栓抜きを探してキッチンに行く。
栓抜きを戸棚から取り出して食卓のいつもの席に腰を下ろすとワインのコルクを抜き、大きくあおった。
机に頬杖を付いて何とはなしに物思いにふけっているとキッチンの扉が開く音で我に返った。
「サンジ君、どうしたの?」
「お、レディこそひとりでどうしたんだい?」
サンジ君は持っていた山積みの皿を流しに置きながら言った。
「うん、ちょっとね。片付け手伝おうか?」
「いいや、もう終わったよ。君の手を煩わすことはないね」
サンジ君は濡れた手をタオルで拭うと私の横に立った。
「トリック・オア・トリート、お嬢様」
サンジ君は私の耳元に口を寄せてささやいた。
さっきまで肌寒く感じていたはずなのに、一気に身体が火照って頬があつくなる。
「ちょっと、お菓子なんて持ってないわよ」
「お菓子をくれないって言うんなら、いたずらさせてもらわなくちゃな」
「ちょ、サンジ君っ何して…」
サンジ君は、魔女のコスチュームに身を包んだ私の向きだの首筋に口を付ける。
今宵だけは無礼講
飢えた吸血鬼にはご用心