短編


□花火
1ページ/2ページ




「…花火、綺麗だな。」



『はい。』



今日は土方さんと真選組の庭で花火を眺めている。



『去年は真選組皆で会場まで見に行きましたよね。』



「あァ、総悟が射的屋の親父のモン全部貰ってきて大変だったな(笑)」



『近藤さんがとても驚いていましたね(笑)』



私と土方さんとの会話の合間に花火の上がる音がする。



「…あれからもう1年が経ったんだなァ。」



『早いですね…。』



「こりゃ、俺がじじいになんのもあっという間だな(笑)」



『土方さんは歳をとっても変わらなさそうですね。』



「ん、どういうことだ?良い意味か?悪い意味か?」



『良い意味でもあって、悪い意味でもあります。』



「わけわかんねェよ(笑)」



『女はミステリアスな方が魅力的でしょう?』



「はっ、違いねェ…」



お酒を呑みながら空をみると花火がやんだ。



『休憩ですかね?』



「そうみてェだ。」



『お酒、足りてますか?』



「あァ、大丈夫だ。」



空が静かになると庭の獅子小渡の音が鳴り響く。



〈トン…〉



土方さんの頭が私の肩に置かれる。



『もう酔ってきたんですか?まだ花火はやりますよ?』



「…酔ってなんざいねェよ。こうしていてェだけだ。」



『いきなり甘えてどうしたんです?』



「……不安になった…なんて情けねェよな…。」



私の髪を撫でながら静かに話す土方さん。



『…大丈夫ですよ。』



私は何処へも行きません…でも、私は貴方がいる処なら何処へでも行きます。



例えそれが真っ暗闇で先が見えずともついていきます。



貴方がいればどんな処でも素敵な処になります。



だって、貴方は私に弱みをみせてくれたでしょう?



それは私にとってこれ以上ない程の信用出来る事です。



貴方に愛されてる自信があるから私も自信を持って信じて生きていける…進んで行ける…。



私は貴方を愛せれて良かった、愛して貰えて良かった。



だから、私は貴方と共にこの身が朽ちるまで生きていきましょう。

















『………あ。』
















今、夜空に綺麗な花火が咲いた。



























END
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ