イナGO短編集
□ほわいとふろむゆー…?
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「んー……どこにあるかな…」
3月のある日、オレは瞳子さんに頼まれておつかいに来ていた。
そして茶色のふわふわの髪を見つける。
「あれ…神童先輩……?」
神童先輩も何かを探しているようだったので、商品棚に隠れて見ていた。
良く見るとチョコの手作りキットを手に持っている。
「……そういえば…もうすぐホワイトデーか…」
すっかり忘れていた行事を思い出す。
ってことはあれ、天馬くんに渡すのを作るのだろうか。
………じゃあもう一個選ぼうとしてるのは?
「………神童先輩?」
「うわっ……って…狩屋?どうしたんだこんな所で?」
「それはこっちの台詞ですよ。チョコ選んでるんですか?」
「あぁ…まぁ…そうだな」
「手作りは天馬くん…今選んでるのは誰用ですか?」
「………えっと…;」
…なにこの反応。
髪型わかめのくせして反応までわけわかめだ。
でも神童先輩があげそうな人…
いや、もらいそうな人って言ったら…
「………霧野先輩、ですか?」
「…なんでわかるんだ?;」
「……うわぁ…わかりやすいですねぇ…」
まさか本当に当たるとは思わなかった。
っていうか霧野先輩が神童先輩にあげたとは思ってなかった。
………ん…?
これはちょっとおかしいな…
でもやっぱ霧野先輩は神童先輩のことが好きなのか?
「…あの…神童先輩、バレンタインの時霧野先輩にもらったんですか?」
「あ、あぁ…」
「……それって…本命、ですか?」
「え……いや、義理だと…思う、けど…」
「…………いつもらいました?天馬くんにもらう前?後?」
「あ、後…?」
……ド天然かよ。
それとも嘘ついてる?
『神童が天馬のこと好きなの知ってるし、さっきのは確実に成功してるしな』
って霧野先輩は言ってたし。
だったらその後に義理チョコなんてあげないだろ、普通。
……ってことは絶対本命なわけで。
「……天馬くんに告白されたようですけど…霧野先輩にも、告白されましたよね?」
「えっ………いや…それは……」
「…図星」
わかりやすいな、この先輩は。
とまぁ霧野先輩がバレンタインに神童先輩に本命をあげたことを知ったわけだけど、
その時はそれに対して特に何も思っていなかった。
――――その時は。