俺の後輩が猫になった。
□◆09日目◆ 俺の後輩が俺に甘えた日。
1ページ/4ページ
「しぇんぱぁい!しぇんぱーい!」
可愛い声が聞こえる。
まるで、何かに甘えるような…
「しぇ・ん・ぱ・いっ!」
ふっと体が宙に浮き、
ドンっと鈍い音と鈍い痛みに襲われた。
「〜〜〜!!」
痛い。
地味に痛い。
簡単に言うと、俺はベッドから床に落とされたのだ。
「…か…狩屋……痛い…じゃ、ないか…」
「おきないのがわるいんでしゅー」
頬を膨らませて、怒った表情をした。
……かわいいから、許す。
「しぇんぱい、キス」
「そっか。――ん」
小さなリップ音が、部屋に響いた。
「……なぁ、今思ったけどさ」
「何ですか?」
「起きないのが悪いんですーの“す”は“しゅ”になるのに、なんでキスの“す”は“す”のままなんだ?」
「は?知りませんよ;」
「…うん。だよな」
甘えたりとか、怒ったりとか、照れたりとか……
最近の狩屋は、表情が豊かだ。
そしてだんだん、猫に近くなっている。
……性格が。
*
「…霧野先輩…オレ、なんか緊張してきました……;」
「なんでお前が;俺の方が…」
部活のあと、裏門で神童が来るのを待っていた。
「…霧野…狩屋……」
「あ、神童」
「……じゃ、霧野先輩」
「…うん。俺は……」
狩屋は俯き、神童は真っ直ぐ俺を見た。