俺の後輩が猫になった。

□◆09日目◆ 俺の後輩が俺に甘えた日。
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「しぇんぱぁい!しぇんぱーい!」



可愛い声が聞こえる。

まるで、何かに甘えるような…



「しぇ・ん・ぱ・いっ!」



ふっと体が宙に浮き、

ドンっと鈍い音と鈍い痛みに襲われた。



「〜〜〜!!」



痛い。

地味に痛い。

簡単に言うと、俺はベッドから床に落とされたのだ。



「…か…狩屋……痛い…じゃ、ないか…」

「おきないのがわるいんでしゅー」



頬を膨らませて、怒った表情をした。

……かわいいから、許す。



「しぇんぱい、キス」

「そっか。――ん」



小さなリップ音が、部屋に響いた。



「……なぁ、今思ったけどさ」

「何ですか?」

「起きないのが悪いんですーの“す”は“しゅ”になるのに、なんでキスの“す”は“す”のままなんだ?」

「は?知りませんよ;」

「…うん。だよな」



甘えたりとか、怒ったりとか、照れたりとか……

最近の狩屋は、表情が豊かだ。

そしてだんだん、猫に近くなっている。



……性格が。











「…霧野先輩…オレ、なんか緊張してきました……;」

「なんでお前が;俺の方が…」



部活のあと、裏門で神童が来るのを待っていた。



「…霧野…狩屋……」

「あ、神童」

「……じゃ、霧野先輩」

「…うん。俺は……」



狩屋は俯き、神童は真っ直ぐ俺を見た。
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