俺の後輩が猫になった。
□◆17日目◆ 俺の後輩と俺が気まずくなった日。
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翌朝。
俺が起きた時、今日も狩屋は居なかった。
「………狩屋…」
昨日の言葉が、ずっと引っ掛かっている。
あのあと俺が家に着くと、外で待っていた。
狩屋は家の鍵を持ってないからな。
家に入ると何も言わずに布団に入って、全く起きてこなかった。
俺もなんとなく起こすことが出来なくて…
結局、俺は床に寝た。
……気まずいならリビングのソファとかで寝れば良かったのにな;
まぁなんとなく、俺は狩屋と離れるのが嫌だった。
そしていつものように、キッチンへ向かう。
「おはよう…?」
「………おはようございます」
「今日は?」
「……甘いオムレツ。座ってください」
「あ、あぁ…」
オムレツにはバリエーションがあるのか……
――――あ、そういや。
「……今日もキスした…?」
「………しましたけど」
「…そうか」
俺ってもしかして……
『猫の姿から人間の姿に戻るため』
……だけの存在―――…?
*
「霧野!」
「わ!?し、神童…」
「今日は狩屋と一緒じゃないのか?」
「あぁ…うん。今日は色々あったんだよ」
「……そっか…」
神童が表情を曇らせた。
そこで俺は、昨日のことを思い出した。
「あ、神童。天馬とは?」
「今返事してきたところだ」
「何て?」
「付き合う、って……ダメだったか…?」
「いや、ダメとは言ってないだろ?;ってか付き合った方が良いって、昨日…」
「あぁ、そうだった」
「……ダメって言ったのは狩屋だから」
「………あぁ…」
そう。
狩屋と俺のことには、神童は関係ない。
そして神童は、狩屋が『ダメ』って言ったことを意識する必要はないんだ。
だって俺は、
『付き合った方が良い』
―――そう思ってるんだから。