俺の後輩が猫になった。
□◇08日目◇ 俺の後輩に会うためにお日様園に行った日。
2ページ/4ページ
……返事はなかった。
「狩屋、開けろ」
「………きりのしぇんぱい…?」
「あぁ、そうだ。早く開けろ」
「………。」
ガチャっ。
鍵を開ける音がして、ドアが開いた。
やはり半猫体になっていた。
そしてその直後、
俺の顔を一瞬見た狩屋は、抱きついてきた。
「…ん……」
いきなりキスまでされた。
だが……人間の姿には戻らなかった。
「…すいません……しぇんぱいのかおみたら…キスしたく、なっちゃって……」
俺が床に座ると、狩屋も俺の前に座った。
「……また思ってんのか?俺が狩屋を好きじゃないとでも。あんなこと言って?」
「…ほ、ほんとは…しんじたかったけど……じしんは、なかった…。ずっといっしょに、いたんだし…オレがかてるわけ……」
「ずっと一緒に居たからって、好きになるわけじゃないぜ?俺は、お前が好きだ」
「……」
「信じられないか?……っていうか、絶対に対等な勝負じゃなかっただろ」
「ぇ…なんで……?」
「…神童は会えるのに狩屋には会えない。どこが対等なんだよ……バ狩屋」
「なっ!?」
「お前居ないと…つまんねぇし……俺が面倒見るやつも居なくなるし?……だから、お前が居ないとダメなんだよ…」
「しぇん、ぱい…」
「あのさ、狩……んっ」
「……また急にしてすいません…。でもお腹空いちゃって…」
…人間に戻った。
つまり、わかってくれたってことだな。
「あぁそうか。食べてないんだよな」
俺は立ち上がって、部屋を出ようとした。
と、腕を掴まれた。
「…ん?」
「あの、先輩…どっちを選んだのか…」
「あー…それは神童も居る時に言うから」
「……先輩って律儀ですよね」
「ん、ありがと」
「…別にほめてません」
「いいんだよ、ほめてなくても。なんか嬉しい」
「……ってかもう、答え聞いたのと同じですけど、オレ」
「…………良いんだよ!しょうがないだろ!;」
素直な狩屋は、すっごく可愛い。
そしてまたツンデレの狩屋も、俺は好きだ。
友達として、選ぶんだったら、神童を選ぶかもしれない。
だけど、神童は、友達……親友以外のなんでもない……。
恋人として、選ぶんだったら。
――狩屋。
……お前以外に選べる人は、誰一人居ない。
友達…親友の上に、恋人≠ニいう存在があるわけじゃないんだ。