俺の後輩が猫になった。

□◇08日目◇ 俺の後輩に会うためにお日様園に行った日。
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……返事はなかった。



「狩屋、開けろ」

「………きりのしぇんぱい…?」

「あぁ、そうだ。早く開けろ」

「………。」



ガチャっ。



鍵を開ける音がして、ドアが開いた。

やはり半猫体になっていた。

そしてその直後、

俺の顔を一瞬見た狩屋は、抱きついてきた。



「…ん……」



いきなりキスまでされた。

だが……人間の姿には戻らなかった。



「…すいません……しぇんぱいのかおみたら…キスしたく、なっちゃって……」



俺が床に座ると、狩屋も俺の前に座った。



「……また思ってんのか?俺が狩屋を好きじゃないとでも。あんなこと言って?」

「…ほ、ほんとは…しんじたかったけど……じしんは、なかった…。ずっといっしょに、いたんだし…オレがかてるわけ……」

「ずっと一緒に居たからって、好きになるわけじゃないぜ?俺は、お前が好きだ」

「……」

「信じられないか?……っていうか、絶対に対等な勝負じゃなかっただろ」

「ぇ…なんで……?」

「…神童は会えるのに狩屋には会えない。どこが対等なんだよ……バ狩屋」

「なっ!?」

「お前居ないと…つまんねぇし……俺が面倒見るやつも居なくなるし?……だから、お前が居ないとダメなんだよ…」

「しぇん、ぱい…」

「あのさ、狩……んっ」

「……また急にしてすいません…。でもお腹空いちゃって…」



…人間に戻った。

つまり、わかってくれたってことだな。



「あぁそうか。食べてないんだよな」



俺は立ち上がって、部屋を出ようとした。

と、腕を掴まれた。



「…ん?」

「あの、先輩…どっちを選んだのか…」

「あー…それは神童も居る時に言うから」

「……先輩って律儀ですよね」

「ん、ありがと」

「…別にほめてません」

「いいんだよ、ほめてなくても。なんか嬉しい」

「……ってかもう、答え聞いたのと同じですけど、オレ」

「…………良いんだよ!しょうがないだろ!;」



素直な狩屋は、すっごく可愛い。

そしてまたツンデレの狩屋も、俺は好きだ。

友達として、選ぶんだったら、神童を選ぶかもしれない。

だけど、神童は、友達……親友以外のなんでもない……。

恋人として、選ぶんだったら。





――狩屋。





……お前以外に選べる人は、誰一人居ない。

友達…親友の上に、恋人≠ニいう存在があるわけじゃないんだ。
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