INTO THE BLUE SKY
□過ぎていく日々 *In passing days*
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1【新しい始まり】
東京(初めは神奈川)に来る当日。
ギリギリまで怠けていた僕はギリギリで荷物をとりあえず用意して夜行バスに大荷物でのった。
座席のせいか新しい世界の始まりへの緊張感か過去への謝罪か、一睡も出来ずにいた。
地元の友達とか世話になった人をゆっくり思い出して、溜息をついた。
大切なものたちは僕の中で痛いほど強く大きくなってしまう。
でもそれらを大切にすることは自分の中が苦痛になること、嘘をつくことだった。
まだ幼い自分を誰よりも憎んでいたけど、それよりも輝きを放つものが自分の中に生まれるのが恐ろしかった。
…こんな風に生きている僕は大事に想うものにさえ忘れられてしまうんだろうな…
でも涙は無くてあっけらかんとしていた。
まだ新しい生活というものにしっかりとした実感が無かった。
朝5時過ぎに品川について、山手線、小田急線となれない電車に乗って向ヶ丘遊園へ。
初めて一人で住んだ街だった。
ここから僕の新しい生活が始まった。