すぺしゃる(文)

□めも
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真面目な生徒が少なくない来神高校。

授業中にはもちろん、
話し声などは聞こえない。


しかしそんな来神高校で最近
授業中にメモを回すことが流行っている。

それは、
友人間、カップル間問わず、
どのクラスでも1つの授業で最低10回は
「これ、〇〇君に渡して。」
などという声が聞こえるほどであった。


そしてそれは、
校内でも有名な犬猿の仲である
平和島静雄と折原臨也の間でも
例外ではなかった。



「新羅、これ静ちゃんに渡して(小声)」



またか。

現在3時間目にして
本日7回目の臨也からのメモ。



「……これ、臨也から(小声)」



すごく面倒くさいが
断ると後が怖いため
文句言わず渡す。


臨也の席は窓側の一番後ろで
その前が私、更に前が静雄となっている。

先日の席替えの際
公平にくじ引きで決まったから
静雄は文句を言わなかったが
臨也からは2時間愚痴を浴びせられた。


その愚痴の最後に
「新羅さぁ、折角だから
授業中静ちゃんにメモ回してよ。」
と言われ
まぁ1日2,3回程度メモを回して
この愚痴に付き合わなくて済むならと
簡単に承諾してしまった。


それでこういう状況になっているわけだ。


中を覗いてもいいと言われたが
はっきり言って人の恋なんてどうでもいい。



あぁセルティ…

セルティが私の前後の席に座っていたなら
1分に1枚愛の言葉を書いてメモを回すのに…

……セルティが私と同じ高校…

……セルティの制服姿…

あぁ…
流行りの短いスカートから
あの長くてスラッとした足が伸びていたら……
普段は黒ばかり着ているセルティが
白いセーターを纏ったら……

………

誰か女子の制服くれないかなぁ…



「ちょっ、新羅。
だいぶ気持ち悪いんだけど。
さすがに引くよ。」

「えっ?」


妄想していたら
いつのまにか授業が終わっていたようだ。



「新羅…頭大丈夫?」

「平気。」

「……」


「臨也、ノート見せてくれ。」

「なに静ちゃん
珍しくノートとってないの(笑)?」

「いや………まぁ……」

「まぁいいけど。」

「悪い。次の時間うつす。」



と。
チャイムが鳴り
二人は私を挟んで座った。





………

やっぱりセルティには
セーターを萌え袖を……


「新羅、これ。(小声)」


ちっ…

人の妄想タイムを…


……

いつもと同じ
線の入ったメモには
珍しく"新羅閲覧禁止"の文字があった。


………
見なかったことにして開けてみるか。

見るなと言われると
見てしまうのが人の性である。



「               」



………

はぁ…。



早く授業終わらないかなぁ…


セルティ………………………



心の中で叫んで
メモを静雄に渡した。









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