静臨・佐相(文)
□可愛いんだよバカヤロウ
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臨也を池袋で見なくなってから1週間。
イラつく。
普通
何の前触れもなく
1週間も彼氏に見せないなんてあるか!?
おかげで
今隣を歩いているトムさんも
数日前から俺のやらかした事の後始末に追われているらしい。
本当に申し訳ないのだが
文句は臨也に言って欲しい。
そんなとき
ケータイのバイブが響いた。
メールか…
!?
臨也!?
こいつ!!
メールの内容を見たら
文句の電話をかけようと思ったが
実際内容を見たら
そんな気は失せた。
彼氏への1週間ぶりの連絡
メールのん内容はたった1行。
[今、何してる?]
バカかこいつは。
そんなもんこっちが知りてーわ。
もし
俺と臨也が出会ったのが
1年や2年前だったら俺はキレて電話していただろう。
しかし、
俺と臨也が出会ったのは高校生のときだ。
それだけ付き合いは長い。
だから
普段の臨也がこんなメールをしてこないのは分かっている。
…
「トムさん…
今日って後何件ですか?」
「あ?
いや、今日はもうないが…」
「じゃあ、
明日休んでもいいっすか?」
「はぁ!?
…今更有給は取れないが
お前の期限が治って帰ってくるなら
明日の仕事は俺が代わるが…」
…
常々良い人だとは思っていたが…
また大きな借りができてしまった。
「あざすっ!!」
俺とトムさんが歩いていた場所から
新宿の臨也のマンションまでは
大した距離はなかった。
とは言っても
全力疾走した為
大分疲れはした。
ちょっと驚かせてやろうと思って
合鍵を使って部屋に入ると
臨也は机に突っ伏していた。
さて、
どうするか…
少し待ってから
ばっと音を立てて臨也が上半身を起こした。
そして
目の前に置いてある時計を見て
ため息をついた。
…もしかして
俺に気づいてないのか?
確かに隠れてはいるが
普段なら気配でわかるよな…
やっぱり様子がおかしい…
来て正解だったな…
つか、
そろそろ声かけるか…
「臨也。」
…
パニックという顔をしている…
後ろから声がしても気付かないのかよ…
「臨也。」
「なんだよ!
…静ちゃん!?」
「なんだよ。」
驚き過ぎだろ可愛いな。
「お前が珍しくメールしてきたから、
心配になって来てみた。
迷惑だったか?」
臨也の顔は
少しずつ赤くなっていった。
が…、
ここで「迷惑だよ!」と
ツンデレとか言うものを発動するのが
臨也だったな…
しかし、
俺の予想はあっというまに覆された。
「本当、こんなできた彼氏を持てて幸せだよ。」
そう言って
俺に抱き着いてきた。
なんだこれ…
弱ってる臨也には悪いが…
(可愛過ぎなんだよバカヤロウ)
→あとがき