静臨・佐相(文)

□可愛いんだよバカヤロウ
1ページ/2ページ






臨也を池袋で見なくなってから1週間。


イラつく。


普通
何の前触れもなく
1週間も彼氏に見せないなんてあるか!?

おかげで
今隣を歩いているトムさんも
数日前から俺のやらかした事の後始末に追われているらしい。

本当に申し訳ないのだが
文句は臨也に言って欲しい。


そんなとき
ケータイのバイブが響いた。

メールか…

!?

臨也!?

こいつ!!

メールの内容を見たら
文句の電話をかけようと思ったが
実際内容を見たら
そんな気は失せた。


彼氏への1週間ぶりの連絡
メールのん内容はたった1行。


[今、何してる?]


バカかこいつは。
そんなもんこっちが知りてーわ。


もし
俺と臨也が出会ったのが
1年や2年前だったら俺はキレて電話していただろう。

しかし、
俺と臨也が出会ったのは高校生のときだ。

それだけ付き合いは長い。

だから
普段の臨也がこんなメールをしてこないのは分かっている。






「トムさん…

 今日って後何件ですか?」



「あ?

 いや、今日はもうないが…」



「じゃあ、

 明日休んでもいいっすか?」



「はぁ!?


 …今更有給は取れないが
 お前の期限が治って帰ってくるなら
 明日の仕事は俺が代わるが…」




常々良い人だとは思っていたが…

また大きな借りができてしまった。



「あざすっ!!」







俺とトムさんが歩いていた場所から
新宿の臨也のマンションまでは
大した距離はなかった。

とは言っても
全力疾走した為
大分疲れはした。


ちょっと驚かせてやろうと思って
合鍵を使って部屋に入ると
臨也は机に突っ伏していた。


さて、
どうするか…


少し待ってから
ばっと音を立てて臨也が上半身を起こした。

そして
目の前に置いてある時計を見て
ため息をついた。


…もしかして
俺に気づいてないのか?

確かに隠れてはいるが
普段なら気配でわかるよな…


やっぱり様子がおかしい…

来て正解だったな…

つか、
そろそろ声かけるか…



「臨也。」




パニックという顔をしている…

後ろから声がしても気付かないのかよ…



「臨也。」



「なんだよ!

 …静ちゃん!?」



「なんだよ。」



驚き過ぎだろ可愛いな。



「お前が珍しくメールしてきたから、
 心配になって来てみた。

 迷惑だったか?」



臨也の顔は
少しずつ赤くなっていった。


が…、

ここで「迷惑だよ!」と
ツンデレとか言うものを発動するのが
臨也だったな…


しかし、
俺の予想はあっというまに覆された。



「本当、こんなできた彼氏を持てて幸せだよ。」



そう言って
俺に抱き着いてきた。



なんだこれ…

弱ってる臨也には悪いが…



(可愛過ぎなんだよバカヤロウ)










→あとがき
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ