戦国BASARA(中編完結)

□女物語
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「こちらでお待ちくださいませ」



『ひ、秀次様はいつ来られるのじゃ?』



「もうじきに御座います」



『あ、有り難う』



「いえ。では、失礼致します。」






如月家の者達とは違う。まるで人形の様に対応している。




『…………上手くいくか心配になってきた』



「それは困りましたね」



『ひゃあ』



「ははは!驚かしてしまってすいません。」





長く綺麗な黒髪を高い位置で結びまだ幼い笑顔で笑う綺麗な人。






「すいません…悪ふざけが過ぎたようですね」



『や、いえ…あの、もしかして…貴方様が秀次様でしょうか?』



「はい、私が豊臣秀次と申します。」





優しそうなに微笑む秀次は想像していたのとは違う…無邪気な人



『私は如月鈴花と申します!!この度はこのような見合い場を…』



「堅苦しい挨拶などはいらぬ。ここには貴方と私しか居ません。少しぐらい緩くても構いませんよ」



『しかし…』



「私が良いと言ったら良いのです。これから夫婦になるのだから堅苦しくては私も接しづらいのです」




『……ならば、秀次様もお止めください。』



「何ですか?」



『敬語とその仕草です。』









「…………驚いた…どの姫君に逢っても口調や仕草のことを気付いた人は居なかった」



幼き頃から人の事には敏感だった。それは早くに母様を亡くし皆が悲しみを隠して笑い続けていた

だからかもしれない。周りの者達が何かを隠したりしたら真っ先に気付いたのが私だった





「鈴花姫は人より敏感なのだな。私の妻になる者がこの様な娘で良かった」



『そんな事は…あ、ありません…』




スッと頬に添えられた手は大きくて温かい。嬉しそうに微笑む秀次様。私はこの時決めたのだ



――――――――この方の妻となろうと。













「どうでしたか?秀次様は良い人でしたか?」



『とっても素敵な殿方であった!』




如月家に帰ってきてすぐに私はお米に秀次様の事を話した。お米は嬉しそうに話を聞いてくれた




『私は秀次様の所ならば嫁いでも良い』



「それはそれは、その事を聞きこの米も安心致しました」



『お米、これからも私の事を頼むぞ』



「承知致しました、姫様」







私はこの先ずっと幸せで秀次様と共にあると信じていたのに…幸せだったのに…






―――――――――あの日が来るまでは…








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