國崎出雲の事情(中編完結)
□私と愉快な仲間5
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──────プルルル
『……………………………』
────はい、栂敷で…
『紗英くん!』
─────ちいちゃん?
出雲くんは携帯繋がらないから紗英くんに電話をして色々事情を話、今日学校行ったのかとかを聞き出した。
『………そうなんだ……』
───心配する事はないよ。國崎くんは元気だったから
『紗英くん、その清良って子の家教えて下さい!』
────えええええ!?
と言う訳で紗英くんを脅して清良って子が所属している稽古場の住所を聞き出した。
『…こ、ここかな?』
今野時間帯だから出雲くんは学校に行ってるはずだよね?とりあえずピンポン押そ……ってインターホンがない!?
『……どうしよう……………』
ピンポン押さなきゃ今の私、不者扱いされそうだな…だって、服装が帽子に黒のジャージだし……マスク付けてサングラスまで…完璧不審者だよ私!
「何してんの?」
『ひぁ!』
後ろを振り返れば飴を舐めながら私を見下ろしている黒い髪の少年。何となくだけど…この人のオーラがみんなとは少し違う気がする。
『こ、こに清良さんって人居ませんか?』
「居るけど何?」
『会わせて下さい!私、今國崎屋に居候してるんですけど出雲くんがこちらでお世話になってるって聞いて……痛っ!』
いきなりグイッと腕を引っ張られ屋敷の中へと連れて行かれる。物凄い力…見た目とは考えられない。
『は、離して!私は出雲くんを連れ戻しにき……きゃあっ』
ボフンとベッドに投げられる。そのまま抵抗を許されず清良さんは私の上に跨がれた。それと同時にドスッと顔スレスレに短剣が刺さっている。
一瞬、頭の中が停止した。体は怯える事も忘れている。
「勘違いしないでくれるかな?俺が無理矢理連れて来たんじゃない。あいつが勝手にホイホイついてきただけ」
『……あっ……』
ギギッとベッドが軋む。怖い…この人何でか分かんないけど……凄く怖い…っ!
「にしても、國崎屋にもこんな可愛い子が居たなんてね…知らなかった」
『……ひゃ………んっ!』
ゆっくりゆっくり手慣れた手付きで太股の付け根ら辺を撫でる清良さん。
楽しそうに顔は笑ってるけど、その瞳の奥は寂しそうに誰かを求めてるような感じ……私を見てる筈なのに私を見てない
「良い声で鳴くね。ヤりがいがあるよ」
『……して…どうして……そんな悲しい顔してるの……?』
「はっ?」
『…悲しい顔してるよ…凄く……誰かに認めて欲しそうな…っ…愛して欲しそうな……』
「…まれ……黙れっ!!!!!!!」
殴られるっ!!!!!!
「清良さーん!」
「ちっ……帰れ」
た、タイミング良すぎるけど…助かった
今のうちに早くここから出なきゃ。
『…………はぁ………こ、殺されるかと思った…っ』
「ちいちゃん!!!!」
『さ、紗英くん?』
屋敷から少し離れた場所に座り込んで息を整えてたら紗英くんが息を切らし慌てた表情をしていた。
「頬に傷がっ!やっぱり来て良かった…」
『…た、大した事ないよ!それより学校は?』
「ちいちゃんが一大事な時に勉強なんかしてられる訳ないだろう」
『ごめんね…私のせいで……また迷惑かけちゃって…』
「気にする事ないよ。プリンセスを守るのはナイトの役目だからね」
手を差し出され掴みグイッと引っ張り上げてもらったが、足と言うより腰に力が入らなくて立ち上がれない
「ちいちゃん?」
『…こ、腰が……抜けちゃって…立て、ない…のっ!』
両手で紗英くんの手にしがみつく。さっきの短剣の恐怖が今響いてきたのだろう
「仕方ない、しっかり捕まっててくれ」
『…紗英くん?』
いきなり腰に腕を回されたと思ったらふわっと体が軽くなった。間近に紗英くん整った顔があり、微かに香る紗英くんの匂い。
『ささささ、紗英くんっ』
「君を放っておけないからとりあえずボクの家に行こう。」
『け、けど私…土まみれだから……紗英くんの制服汚れちゃうよ?』
気にしない、と無理矢理車に乗せられて紗英くんのお家に向かっている。
『あ、あの…この事みんなは…』
「安心たまえ、ボクしか知らないから。言うつもりもないから」
『…………有り難う、紗英くん』
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