國崎出雲の事情(中編完結)

□私と愉快な仲間6
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『梅樹くんに松樹くん?どうしたの?出雲くんならまだ………』



「ほら、これ」



『チケット?』



「…チビが出るんだよ」



『何で私に?』





チケットの他に一枚の紙を渡された。そこにはちいへと書いてあった。





「メイドも今回の件で反省しているらしいが舞台があるから直接渡せないんだ」



『だから、二人が代わりに?』



「そー」




舞台って女形やりたくないから家でしたんじゃないのかな出雲くん…結局出雲くんは歌舞伎を心から愛しているのだろう





『……私は見に行かない…』



「ああ?チビがせっかく誘ってんだぞ!」



『…歌舞伎には興味あるし……みんなの稽古を見て観客席からも見てみたいって…思う……けど……私は行かない』



「んだと…!」





行けばあの人に会ってしまうかもしれない。それだけは避けたい……母を私を捨てた男はきっと今でも歌舞伎世界に居るはずだから。






「……まあ、観るか観ないかはキサマ次第だ。けど、メイドはキサマを待ってるぞ」




『…………………………』



「帰るぞバカ兄貴」




「バカって言うな!!」





口喧嘩をしながらも仲良さそうに帰って行く二人を最後まで見送り私は自分の部屋に向かう。



途中で冬政さんに会いどうした?と聞かれたが何でもないと笑って誤魔化しといた







部屋に入り机に向かい出雲くんからの手紙を開ける。





ちいへから始まって、最初は謝罪文。私の事は全部紗英くんから聞いたらしい。




顔に傷を作ってまでオレを連れ戻しに来てくれて有り難う。だって…出雲くんらしいな。





次は舞台についてだった。そこには絶対とは書いてなく、気が向いたらで良いからって書いてあった。







『……………舞台……』





出雲くんが出るこの舞台にあの人は居ないと思うけど、どうしても気が向かない









『……………どうしよう………』







出雲くんの舞台は見に行きたいけど怖い










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