私は戦国武将。
□女
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「……」
文を片手に、なんだこれはと自分に問いかけた。
文章から見てもあまりに馴れ馴れしく、拙い。たまにあからさまな誤字も見られた。
ただ単に語彙力が乏しいだけなのか、よほどの阿呆か。
「……………」
悶々と自問自答が繰り返される。が、一向にそれらしき答えなど出なかった。
静かに時間が過ぎていく。そんな中。
「…あ、あの、咲様。吉報だったのですか?」
しびれを切らしたのか、重職の一人が尋ねた。
この男は、いつも周りを代弁してものをいう。そんな奴だ。
「…」
もう一度、文に目をやった。
果たしてこれは吉報なのか。
「…最上殿が直々に我が城に足を運ばれるそうだ。何やら話があるらしい」
言い終わった瞬間、どよめきが走った。
「最上殿…直々に?」
「と言うことは、咲様が…?」
「そんな…」
皆不安げに辺りの様子をうかがっている。
咲には、それらが不愉快でならなかった。
「なんだ、文句でもあるのか?」
鋭利な視線と、冷徹な声音。
その一言で、皆が一斉に黙り込んだ。