short story 1
□秘密の箱
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ぱたっ、ぱたっ、と。
大きな雨粒が濃紺の空から落ちてきて、撥水の良い広い窓を1回2回、打ち付ける。
斜めに滑り落ちていく滴は次の瞬間黒いワイパーですぐに端へ追いやられて。
また1回2回、大きな雨粒が窓をたたく。
雨足が早まると助手席の窓にも水が流れて、視線だけで見上げたネオンはぐにゃりと水面に歪む。
どこまでも続く赤いテールランプ。
かちゃりと指示器を鳴らして、桐生さんの動かす車は大通りをいち早く抜けていった。
秘密の箱
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