ミナクシ 2
□はじまりの恋 2
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私は目の前の大きな門に一瞬怯んでしまった。
阿吽の門と言うらしい。
さすがに五大大国の忍里の一つ木の葉の里。
とても立派な里だ。
繋いでいる手をミナトが強く握る。
まるで私を安心させるかのように。
「ありがとう……ミナト。大丈夫だってばね」
私はミナトに言った。
それからにっこりと笑いかける。
ミナトと繋いでいる手を離す。
一瞬、ミナトは戸惑ってから、微笑み返してくれた。
どうやら私の気持ちが伝わったらしい。
ミナトがいてくれるから大丈夫だということだ。
それからゆっくりと2人で歩き出した。
✽✽✽✽✽
そのままミナトと一緒にアカデミーと呼ばれる火影室がある建物へと連れて行かれた。
以前も何度か会ったことのある3代目火影との対面。
「良く来たのぅ」
三代目火影は言った。
私は静かに一礼する。
「婚儀に参列出来なくて、すまなかった」
三代目火影は私とミナトに頭を下げた。
そんなことを言われるなんて思ってもいなかっただけに驚いてしまう。
「またこちらでも改めてお披露目をしたいとは思っています、クシナを。もちろん彼女の生活が落ち着いてからですが」
ミナトはにっこりと笑って三代目に言った。
ある意味、ミナトは強引だ。
そんなこと今、初めて聞いた。
驚いている私にミナトはニコニコしている。
とても満足そうな笑みだ。
私は呆れたように息を吐いた。
これが私の夫なのだと改めて思った。
✽✽✽✽✽
三代目火影の挨拶が済んでから、ミナトは自宅へと連れて行ってくれた。
そこはアカデミーから10分ほどの岩に面した小さな一軒家だった。
新しくもなく古くもない。
だけど、とても雰囲気は良い家だった。
「ここ?」
「ん、気に入った?」
私の問いかけにミナトは満足そうに頷いた。
鍵を取り出し玄関を開ける。
そしてその鍵を私の手のひらに渡す。
「それはクシナの鍵だから無くさないように」
冷たい銀の鍵を私は見つめる。
私たちの家の鍵
心が満たされるのが分かった。
嬉しくて息が出来ない。
私は泣くのをなんとか堪えて、しっかりと頷いた。
それからミナトは私を自宅の中を案内してくれた。
彼が以前言っていた通り、寝室のベッド以外はなにもなくガランとしている。
「……ミナトの荷物は?」
私は聞いた。
ミナトの荷物さえ家の中にはなかったのだ。
「うん、クシナと一緒に家具の配置を決めてからと思って」
そう言ってミナトは寝室のベッドの上に置いている巻物を指さした。
まだお昼過ぎだ。
午後は荷物を整理するので終わりそうだと私はミナトを見つめていた。