ミナクシ 2

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木の葉の里に来て、7年。
私は15歳になった。

この7年はあっという間だった。
最初は木の葉の里に馴染めなくて……馴染む気もなったんだけど。
木の葉の里の忍びになったのは10歳の時。
それから12歳の時に曇の里の忍に誘拐されそうになった。

全ては私が九尾の人柱力だから。

いろいろあったなぁと私は改めて思う。
私は歴代火影の顔岩を見上げる。

その時、あたりが一気にざわめいた。
何度も遭遇したことがあるこの状況。

私は騒ぎの元を視線で探す。
そこには金髪の少年がいた。

彼は担当上忍師としばらく修行の旅に出ると言っていたのに。
帰って来たようだ。

「ミナト!」

私はざわめていている周りを気にせず、金髪の少年へと駆け寄った。

「ん。クシナ」

ミナトは私に気がつき、朗らかな笑顔を向けてくれた。
その爽やかすぎる笑顔のミナトを見て、周りからはため息が漏れている。
当の本人は気が付いていないようだけど。

「お帰りってばね!」

「ただいま」

私の言葉にミナトは素直に答えてくれる。
彼は幼いときからとても素直な少年だった。

本当にミナトは屈託なく育ったなぁと改めて思った。
ある意味凄いと実感した。

「早く帰ってきたってっばね? もっと長い間、修行してくるのかと思ってた」

私は疑問に思っていたことを尋ねる。
するとミナトは苦笑した。
彼も残念そうな表情だ。

「ん、自来也先生に緊急任務が入っちゃって修行は終了になったんだ」

「そっか。残念だったってばね」

私はミナトを気遣うように言った。
実際は全く残念だなんて思っていないけど。
だって、私はミナトと会いたいと思っていたのだから。

曇の忍に誘拐されそうになったとき、ミナトは助けてくれた。
それから私はミナトに恋をしてしまったのだ。

私の片想いだけど。

猪突猛進な私は恋を自覚してからミナトに猛烈にアタックを開始した。
丸1年が経過したのに、残念ながらミナトの反応はイマイチ。
まさか、全く気がついていない訳ないだろうけど。
聡いミナトのことだから渡しの気持ちを分かっているはずだ。

でもこうもスルーされてしまうと見込みがないのだろうかと落ち込む。

ミナトは優しいから私を無視したりはしない。
反対に朗らかに接してくれる。

……まぁ、これがミナトを諦めきれない理由でもあるんだけど。
私は内心ため息を吐いた。

それでも好きなのだから仕方がない。

「ん、クシナ。どうかした?」

考え込んでいる私にミナトが顔をのぞき込んできた。
ミナトの綺麗な顔が近くて私は焦ってしまう。

「なんでもないってばね!」

私は誤魔化すように言った。
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