ミナクシ 2

□ナツコイ
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季節は夏を迎えた。
太陽の日差しが強くなっていくのを日に日に感じる。

あまりの暑さに額の汗を拭った。
まだ7月に入ったばかりだというのに。
これからもっと暑くなると思うと気が滅入ってくる。

晴れた空を仰ぎ、俺は無意識にため息を吐いてしまっていた。

「……ミナト、どうかしたのか?」

「っ! ん、ごめん。なんでもない」

俺は慌てて答えた。
今は任務の作戦中だったのだ。

そんな俺に声をかけてくれたシカクが心配そうな視線を送ってくる。
暑いからため息を吐いたのではない。
この暑さで任務に支障が出ることはない。

きっと、シカクは分かっているのだろう。
だけどそれ以上は何も聞かないでいてくれた。

俺がため息を吐いてしまった理由。
それは付き合って3年になる彼女のクシナが原因だった。

……最近、なんとなくだけどクシナにさけられているような気がする。

何か怒らせるようなことをしてしまったのだろうか?
考えても心当たりがない。

3年も付き合っているのに、未だにクシナの行動に一喜一憂してしまう。
クシナが何を考えているのか、完全には把握できないし。

「ミナト、行くぞ!」

シカクが俺に声を掛けた。

俺はハッとする。
今は作戦に集中しなければ!
思考を切り替えなくては。

この任務が終わったら、クシナに会いに行こう。
そう思いながら俺は地面を蹴って、目標へと向かった。


✽✽✽✽✽


任務自体は遂行出来た。
……普段の俺では考えられないような初歩的ミスをしてしまったけど。

自己嫌悪してしまう。

「……大丈夫か?」

「ん、平気。ごめん、シカク」

俺はシカクに言った。

今回の任務は俺が立てたのに。
結局はシカクに頼ってしまった。

「ま、この暑さのせいでミスもするさ」

シカクは空を仰ぎながら答えた。
どうやら俺を慰めてくれているらしい。
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