ミナクシ 2

□Over True
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最近、よく夢に見る。
少女の夢。

誰かは分からない。
会ったこともない少女。

でも、俺にとってとても大切な少女だということは分かる。
幻術に掛かっているように、現実ではないようだ感覚。

夢の中で、その少女を抱きしめると、いつも目が覚めてしまう。


✽✽✽✽✽


「ミナトのことが好きなの。私と付き合って下さい!」

目の前の少女を俺は静かに見つめていた。
冷静に彼女を分析している自分がいる。

黒髪の長い髪を一つに結い上げている。
頬を仄かに染めて、瞳は潤んでいた。
同期の男子達が可愛いと騒いでいたのも頷ける。

だけど、俺は彼女に引かれるモノは何もなかった。
心に反応しない。

「ん。……悪いけど、俺、君とは付き合えない」

俺は申し訳ない気持ちで言った。
……俺は彼女の名前さえ覚えてはいないのだから。

「……そう」

彼女は可愛らしい顔を辛そうな表情を浮かべて俯いた。
それから、彼女はその場から駆け出した。

俺は静かに彼女が去って行ったのを見つめていた。

俺はしばらくその場で佇んでいた。
その時、俺は気配がして驚いて振り返った。

「シビ」

俺は彼の名前を呼んだ。
木の影から、シビは静かに姿を現す。

「……ミナト」

あまり多くを語ろうとはしない友人。
きっと、彼なりに何か思うことがあるのだろう。

「あまり、悩まなくもいい」

シビはそれだけ言った。
彼が俺を気遣っているのが分かる。
とても優しいのだ。

俺は彼の優しさに甘えたくなった。
辛い心の中を吐露してしまう。

「……俺、どっかおかしいのかな?」

ずっと思っていたことだった。
木の葉の里の友人、仲間はとても大切だと思う。

だけど、特別な女性は出来ない。
作ろうとさえ思えない。
心に欠陥があるのだろうか?

ずっと思っていた。
俺はどこか普通ではないのだろう。

友人たちがそんな俺は心配してくれいるのも知っている。

先ほどの少女も可愛いとは思う。
だけど、好きにはなれないと実感した。
それでも彼女と付き合うのは悪い気がしたのだ。

「……まだ、出会っていないだけだ」

シビは静かに呟くように言った。

俺は友人に儚く笑った。
笑うしかなかった。
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