ミナクシ 2

□ボンビーガール 3
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ミナトと暮らし始めて4か月目に突入した。
気が付くと3月末。

一緒に暮らし始めたのは冬前だったのに、季節はもう春を迎えようとしていた。

……私たちの関係は上手く行っていると思う。
でも同棲と同居、どちらかと聞かれると返答に困る。

ミナトとキスはする。
毎日、挨拶のようにミナトとキスをする生活が続いていた。

おはよう。
おかえりなさい。
おやすみ。

一日3回。
当然のようにミナトが私にキスをしてくる。
最初は困惑していたけど、今はそれを当たり前のように受け入れている自分がいた。

今ではもう生活の一部になってしまっている。
恥ずかしくて私からはキスできないけど。

ミナトとキスをするのは嫌ではない。
それどころか反対にミナトとのキスは好き。
ちゃんと愛されていると感じるから。

……ミナトからのキスはいつもドキドキして慣れることはないけど。
と、言うかミナトのあの優しげな笑みを向けられるたびに私に心臓が高鳴ってしまう。

『クシナ』

ミナトに名前を呼ばれるだけで、私は幸せな気持ちになる。
こんなにも幸福でいいのだろうかと思ってしまうほどだ。

でも、ミナトはキス以上を私に求めては来ない。
……たまに私のベッドに潜り込んでくると気があるけど、ミナトは私を抱きしめて眠るだけ。
私を抱こうとはしない。

きっと私に経験がないことを考慮してくれているんだと思う。
一緒に暮らしていて、ミナトの優しさはいつも感じている。
私に気を使ってくれているのが伝わってくるのだ。

だから尚更ミナトがいろいろと我慢しているようで申し訳ない気もするけど、彼から本当に大切にされていると感じて嬉しい。
私もミナトが快適に暮らせるように努力をした。

時々、ミナトにやっぱりからかわれているのではないかと思ってしまう。
ミナトほど素敵な人が私なんかをという想いは消えてなくなりはしない。

もし、ミナトが本当は私のことを好きでなくても私はミナトのことが好き。
これだけは私の中で間違えようのない真実だった。

現在も私はミナトの家の家事をして、給料をもらっている。
……ミナトからの給料は多すぎるし、素敵な家に一緒に住まわせてもらっているだけでも私にとっては有難い。

食費も光熱費も全てミナト持ち。
家賃さえ私は払っていない状態だった。
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