ミナクシ 2
□星に願いを
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大学生になって、私は初めて『恋』をした。
入学式に初めて見た彼はとても素敵だった。
金色の綺麗な髪が風に靡いて、彼のスーツ姿はとても様になっていた。
一目惚れだった。
あれから二度目の夏。
「あれ、クシナ。1人?」
私は天文サークルの部室で雑誌を読んでいた。
振り返らなくても分かる私の好きな人の声。
「ミナト」
私は振り返りながら答えた。
初めて彼を見たときより、彼に対する恋心が大きくなっているのが分かる。
毎日彼への気持ちが増す。
テストが終わるともう夏休みだ。
大学の夏休みは長い。
9月末まで夏休み。
ミナトは私の向かいの席に当然のように座った。
手に持っていた未開封のペッドボトルを私へと差し出す。
「はい、あげる。このお茶好きでしょ」
ミナトがにっこりと微笑みながら笑いながら言う。
その微笑みに私は心臓が爆発しそうになってしまった。
それほどミナトは素敵なのだ。
「あ、ありがとう」
私はミナトからペットボトルを受け取った。
彼が私の好きなお茶を覚えてくれていて嬉しい。
「毎日暑いね」
ミナトはそう言いながら缶コーヒーを飲み始めていた。
その仕草が色っぽい!
私は心臓を落ちつかせるためにミナトから視線を逸らしてしまった。
心臓がどきどきし過ぎて痛かった。
✽✽✽✽✽
波風ミナトは法学部。
私は文学部。
学部が違うから、ミナトと親しくなるのを諦めていた入学当時。
4月半ばのミナトから声を掛けられた。
「ん、君。星に興味がない? 良かったら天文サークルがあるんだけど……」
「興味ないってばね」
いきなりのことで私は正直にそう答えてしまった。
冷静になってから、凄く後悔した。
せっかく彼と仲良くなるチャンスだったのに自ら某に振ってしまったのだ。
そのことで落ち込んでいた私に大学に入ってから親しくなった同じ学部のうちはミコトがどうしたのかと訪ねてくれた。
でも一目惚れしたなんて恥ずかしくて言えなかった。
その翌週、ミコトの彼が部長の天文サークルへと連れて行かれた。
「あ! 来てくれたんだ!」
天文サークルの部室に入った途端に波風ミナトに両手を握られていた。
「?」
もしかしてボディタッチの多い残念な人なのかと焦る。
初対面……ではなくとも殆ど知らない私の両手を握るなんて。
驚愕していると彼は驚いて私の手を離した。
「ん、ごめんね!」
顔を真っ赤にして私に謝る波風ミナトは見かけとは違い可愛い人なのかもしれない。
思わず笑みがこぼれてしまっていた。
「クシナ、お願い! 人がいなくて一緒に天文サークルに入ってくれない?」
そんな私にミコトが言った。