ミナクシ 2

□恋の自覚
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今日は久しぶりにクシナと食事に出かけていた。
前々から約束していたのだ。
次の休みが合ったときに、と。

やっと約束が守れた。
最近はお互い任務で忙しかったから。

「デザートのチーズケーキが凄く美味しかったってばね。
また来たい!」

余程クシナのお気に召したのか店を出てからクシナは上機嫌だ。
ニコニコと笑っている。

クシナの笑顔を見るのは昔から好きだ。
なんだか俺の心まで温かくなってしまう。
きっと彼女の人柄が笑顔に表れているのだと思う。

「ん、そうだね」

俺も同意する。
無意識に微笑み返していた。

今日、食事をした店は食事自体美味しかった。
クシナも喜んでいたようだし。
お店を調べた甲斐はあったようだ。

「ミナト、また行こうね!」

「うん」

クシナに俺は答える。
前回、一緒に行ったカフェも美味しかったなと思い出す。

そう言えば、そこにもクシナはまた行きたいと言っていた。
両方行けば良いか、と瞬時に納得する。

「クシナ!」

遠くから声が聞こえた。
俺たちはその声の主を振り返る。

すると、そこには二期上のハジメがこちらに向かって大きく手を振っていた。
正確にはクシナに向かって手を振っているのだろう。

俺はチラリとクシナを見た。
クシナは少しだけ躊躇ってから軽く手を上げていた。

ズキンと胸に微かな痛みを覚えた。
俺は自分の胸を抑える。

「?」

自分でも分からない感情が心の中に渦巻いている。
なんとなく落ち着かない。
だけど、クシナがハジメへと手を振っていることが嫌だった。

クシナはハジメに少し困惑しているようだけど。
それからハジメに向かって軽く会釈をしてからクシナは俺の腕を取った。

そのことにホッと息を付いてしまった。
俺はなぜ無意識に緊張してしまっていたようだ。

理由は自分でも分からない。
分からないことが、落ち着かなさを増長させる。
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