ミナクシ 2

□キボウノツバサ
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「ミナト!」

俺は声がした方へと振り返った。
そこにはクシナが笑顔で手を振りながら駆け寄ってきているところだった。

赤く長い髪が揺れている。
眩しく感じて、目を細めてしまう。

最近、クシナは綺麗になった。
元々可愛かったんだけど。

16歳になるのだから、クシナも色々と気を遣うようになったようで。
ますます、綺麗になっていく。

俺としては、何もしなくても十分可愛いと思う。
それに他の男にクシナを見られたくないという気持ちもあった。

俺とクシナは付き合っているわけではない。
だから、そんな嫉妬してしまっていることなんて口が裂けても言えない。

それ以前に、クシナは俺のことをどう思っているのだろうか。
嫌われていないとは思うけど。

うん。
クシナからは好かれている。
好意は感じられるし。

でも、その好意が「LOVE」なのか「LIKE」なのか。
俺には判断が出来ないでいた。

2年前のクシナが誘拐されそうになってから、かなり話すようになった。
クシナも俺を見かければ声を掛けてくれるようになったし。

以前は、俺が声を掛けるだけだった。
クシナからは声を掛けられることはなかったのだ。
それどころか、少し避けられていたような気もするし。

そう考えると、クシナに直接聞くことが出来なかった。
以前のように、クシナから避けられたら嫌だし。

今の関係を壊したくない。
臆病者だな、と思う。
だけど、どうしようもないのが本音だった。

「久しぶりだってばね!」

そう言いながらクシナは俺の腕に自分の腕を絡めて来る。
腕を組んでいるような状態。

胸が当たっているんだけど。
俺は冷静をなんとか装うのがやっとだった。

「ん、そうだね」

クシナへは返答する。
お互いの任務と修行でクシナとは行き違いになってしまっていた。

会うのは二か月ぶりだった。
会えない時はいつも不安になる。
クシナに好きな人が出来たらどうしよう、と。

「どうかした?」

考え込んでしまっていた俺にクシナは首を傾げている。
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