ミナクシ

□HOT!
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クシナと一緒に暮らし始めて、初めての冬。

今年の冬は寒い。

俺は思わずブルリと身体を震わせた。
クシナに温めてもらいたいと思う。
彼女を抱きしめたい。

中期の任務が終わり、自宅へと向かう足が無意識に速まってしまう。

夜も更けて、丑三つ時と言われている時間帯だ。
クシナはきっと眠っているだろう。
それでも気持ちは止まらない。

クシナに早く会いたい。
愛しい恋人に。

クシナに2ヶ月もあっていない。
こんなに会えなかったのは初めてだ。

昨年の夏から一緒に住むようになった。
以前に比べると一緒に暮らすようになって一緒に居られる時間は増えた。
それでも、足りないと思う。
 
もっと一緒にいたい。
お互い任務もあるし、すれ違うことも多々あるけれど。

2人の家が見えた。
俺は急ぐ気持ちを抑えつつ、家へと向かう。

玄関を開ける前に、自分を見下ろす。
汚れはさほどない。

けれど、汗臭いかも。
山の中での任務だったために水浴びくらいしか出来てない。

クシナと一緒に帰り始めて、自宅に入る前に身なりをチェックするのは、もう癖だ。

クシナに、嫌われたくない。
……そんなことでクシナは俺を嫌ったりはしないのは分かっているけど。

いつまでも、クシナに格好いいと思われていたい。
ずっと好きでいてもらいたいから。
これはオトコとしての下らないプライドだろうか?

俺は玄関の扉を静かに開けた。
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